「歴史のない国」の悲哀
これを言ってしまうと身も蓋もなくなってしまうが、中国は夏王朝から数えても4,100年に及ぶ雄大な歴史を持ち、しかもその間、1840年アヘン戦争から1949年中華人民共和国成立までの100年余を例外として、何千年もの間インドと合わせて全世界のGDPの7~8割を占め続けてきた本物の大国であり、それに対して米国は今年7月4日に建国250年を迎える、世界史的に見れば全くの新参者の「歴史を持たない国」でしかない。
中国は、紀元前6世紀のアケメネス朝ペルシャ帝国に始まる2,600年の歴史を持つイランも同じだが、「歴史を持つ国」として当然、100年単位、短くても10年単位で物事を考えることが出来る。それに対し、米国や、古代イスラエル王国を別にすれば1948年の建国から80年も経っていないイスラエルは、長くて10年、トランプに至っては11月中間選挙までの6カ月間に何か目覚ましい成果を上げられないかという短絡的な心理しか持つことが出来ない。
事前にMAGA派の間に出回った予測というか希望的観測によれば、トランプは習近平からウクライナ戦争とイラン戦争の収拾について突っ込んだ議論をして協力を取り付け、北京からモスクワを電撃訪問するという密かなプランを抱いていて、これが成功すれば中間選挙の勝利間違いなしだという話だった。
真偽は不明だが、トランプがそのような妄想的な過剰期待を抱いていた可能性はないとは言い切れず、それで落ち込んで渋面を晒していたのかもしれない。「歴史のない国」の悲しさである。
私の勝手な想像では、トランプは夕食会が営まれた人民大会堂「金色大庁」の、確かに金色を多用してはいるけれども極めて洗練された豪華さを醸している様子(写真1)には胸を打たれたのではあるまいか。
トランプの金ピカ大好きは有名で、ホワイトハウスの執務室は安っぽい金色の置物や壁飾りで埋められていて(写真2)、これから300億ドルをかけて建設する予定の650人収容の東棟の大宴会場もかなり金ピカだが、品格において金色大庁に遥かに及ばない(写真3)。
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