アメリカでは既にホワイトカラーよりブルーカラーの億万長者が増えています。若い世代が技能職でキャリアを築く流れは本物で、日本ではあまり報道されていませんが現実に起きていることです。では、なぜ日本ではその流れがまだ来ていないのかというと、日本固有の歴史的な背景があり、少子化とも深く絡み合っているから。
詳しく説明しますと、まず日本の「ホワイトカラー神話」は高度成長期に生まれました。それ以前、農家では専業主婦という概念がほぼなく、祖母が孫を見て、子どもが弟妹の世話をするのは当たり前。江戸時代から農家に専業主婦はいなかったんです。
それが高度成長期に変化が起きました。工場や企業が増えてサラリーマン転職が急増し、「大学を出ていれば最初から管理職になれる」という構造ができた。そうなると「子どもには大学まで行かせたい」となるわけですが、大学まで行かせようとすると子どもは1~2人が精一杯で、そこから少子化が始まりました。
昔の日本は三人兄弟だと、長男は家を継ぐ、次男は地元の市役所、三男は自衛隊というのが典型的なパターンでした。それが少子化で一人っ子や二人兄弟が増えると、家を継がなくていい次男、三男が減る。自衛隊の志願者が減って、北海道のような大規模駐屯地ほど人手不足が深刻になっているのは、そういう構造的な背景があるわけです。
ただ、今の若い世代をよく見ると「ホワイトカラー志向」というより「楽でゆるい仕事志向」なんです。彼らが求めているのは「室内で9時5時、きちんと休みが取れる仕事」。介護職や理学療法士が人気なのも「エアコンの効いた室内で、親からも反対されない」というのが大きな理由で、仕事の中身を冷静に考えているわけではありません。
理学療法士は20万人以上いるので給料が安いのは当たり前で、診療報酬という天井があって患者さんから取れる金額が決まっているから、どれだけ需要が増えても給料は上がらないんです。自分の給料がどこから出るのかを考えずに「きれいに見える仕事」に流れた結果が、手取り18~20万で文句を言うという状況です。
そして、この「楽でゆるい仕事」こそが真っ先にAIに置き換えられていきます。AIが最初に奪ったのは、証券会社のトレーダーという高給職でした。15年ほど前からゴールドマンサックスでも野村証券でもAIが入り、自社トレーダーがどんどん消えていきました。
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