中島聡が警告「AIに頼り過ぎる人類」は“確実に劣化”する。ノーベル賞経済学者が示した「知識崩壊」の不都合な真実

 

電卓・漢字変換と同じ流れの中で

電卓の誕生により私たちは自ら計算しなくなり、かな漢字変換が誕生して漢字を書く必要がなくなりました。結果として、計算能力や漢字を書く能力が落ちているのは事実ですが、人間はより上位の仕事を行うことにより生産性を上げてきました。

AIが検索にも勝る知識を持ち、かつ考える力を身につけた結果、私たちが知識を蓄えることを辞め、考えることすら辞めてしまうとすれば、それが「人類全体の知識を逆に痩せ細らせる」ことに繋がることは確かだと思います。

私自身、ここ半年はAIにコーディングを任せてばかりいるので(「AIよりもコーディングのスピードがはるかに遅い私」に仕事を任せるわけにはいかないからです)、結果として、私のコーディング能力が落ちている可能性は十分にあります。

しかし、結果として、私が生産するものの質が落ちているかというと決してそんなことはありません。半年前と比べて圧倒的な生産性でソフトウェアを作れるようになった私は、以前だったら決して実行しなかったような冷酷なリファクタリング(=これまで作っていたものを否応なしに否定し、捨ててしまうような作り直し)を行えるようになり、結果として、当初は想定もしていなかったような良い設計のソフトウェアが誕生しつつあるからです。

日本には「馬鹿とハサミは使いよう」ということわざがありますが、AIも同様に使い方次第では、毒にでも薬にでもなるとつくづく思います。

(本記事は『週刊 Life is beautiful』2026年6月9日号の一部抜粋です。「今週のざっくばらん」や「私の目に止まった記事(中島氏によるニュース解説)」のその他の記事、読者質問コーナーなどメルマガ全文はご購読のうえお楽しみください。初月無料です )

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