可能性として検討しておくべき「残り2つ」の流れ
(2)株価テコ入れ → イラン和平 → 中間選挙
この流れというのも、可能性としては検討しておいたほうが良さそうです。政権が金融政策や財政政策、あるいは市場へのメッセージを通じて、まず金融市場の安定化を図る場合です。市場が落ち着いている間に外交交渉を進め、選挙前に和平を実現するという流れです。
実際、市場は将来を先読みするため、「和平が近い」と判断した段階で株価が先に上昇することがあります。市場参加者は結果そのものより期待を織り込むからです。
その後に正式な和平が成立すれば、「外交成功」と「株高」の二重効果が生じ、中間選挙に有利に働く可能性があります。しかし、この順番にはリスクもあります。もし和平交渉が失敗すれば、市場は失望売りに転じます。期待で上昇した株価ほど、失望時の下落も大きくなりやすいのです。
しかし、よく考えてみると、今回起きているのはこの流れだということも言えそうです。つまり、12日の金曜日にスペースXの上場が成功しました。成功するためには、市場が元気である必要があり、市場としてはテコ入れがされていたわけです。そのうえで、12日には上場が大成功となり、これを受けて株を下げないで、更に上昇させるために、週末には対イラン合意というカードを切ったのかもしれません。
(3)株価テコ入れ → 中間選挙 → イラン和平
これは一見すると、短期的政治優先のシナリオです。選挙前に何とか市場を支え、中間選挙を乗り切った後で本格的な外交解決を図る形です。
冷静に考えると、この場合、選挙期間中は中東リスクが残ったままとなります。何らかの軍事衝突や海峡封鎖が起これば、原油価格が急騰し、市場安定策は一瞬で吹き飛ぶ恐れがあります。ホルムズ海峡は世界の石油輸送の重要拠点であり、その混乱は世界経済全体へ波及します。
ですから、選挙後に向けて中東における外交問題を先送りするのは高リスクな賭けといえます。その一方で、トランプ政権としては、「戦時」という緊張感、そして戦争遂行時の大統領による指揮権行使が続いている状態は、選挙の際にも効果的と踏んでいるかもしれません。つまり、選挙に勝たないと和平ができないということではないのです。
そうではなくて、選挙の時点では和平が不成立で、紛争が継続している、その方が政権の求心力になる、という仮説です。仮にこうした仮説を政権周囲が真剣に考えているのであれば、この順番というのも成立する考え方です。
非常に冷静な一般論を語るのであれば、市場は将来の好況や不況を先取りし、外交の結果は市場を動かし、選挙はその全体の結果を評価する、そんなメカニズムがあると考えられます。であるのならば、順番としては、和平をやり、株価をテコ入れし、その後で選挙という順番が正しいのだと思います。ここまで検討してきた(1)がそうです。
そうなのですが、問題は(2)、(3)という要素も考えられるのです。高く吊り上げた株価水準を、とにかく暴落させないために和平のニュースを出すとか、あるいは投票日時点では緊張があり、できれば戦時のほうが都合がいいという要素もあります。
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