「トランプと習近平の握手」と「一度も“台湾”の文字が出なかった」の裏側。米中首脳会談で先送りされた争点が迎える“次の期限”

 

【1-1.台湾:言葉は変わらず、武器は止まったまま】

最大の注目点だった台湾をめぐる米国の言葉は、少なくとも公開された情報の範囲では変わりませんでした。

中国外交部の記録によれば、習主席は米国に対し、台湾独立に反対するという立場を守り、台湾問題を慎重に扱うよう求めています。

これに対してトランプ大統領は、会談後に台湾が話題になったかを問われても「素晴らしい会談だった」と述べるにとどめたと台北タイムズは伝えていますが、私が確認した公開報道の範囲では、この発言を裏付ける別の報道は見つかっていません。

米ブルッキングス研究所の分析も、トランプ大統領は台湾独立に「反対する」という言葉を求めた習主席の要求には応じなかったと見ています。

前号で私が最も懸念したのは、米国の表現が「独立を支持しない」から「独立に反対する」へと一歩踏み込むことでしたが、その一線は、少なくとも今回は越えられていません。

ただ、ファクトシートに台湾の記述がないことは、会談で台湾が話題にならなかったことを意味しません。中国側の記録が示すとおり、台湾は会談の議題に上っており、米国がそれを自らの記録に載せなかったというのが正確な姿です。

とはいえ、それで安心してよいわけではありません。約140億ドル規模とされる台湾への武器売却のパッケージは、5月の北京での首脳会談以降、保留されたままだからです。台湾の顧立雄国防部長も9月29日、米側から計画の変更について通知は受けていないと述べました。

「言葉は動かさず、行動だけを止めておく」

これは、相手に「次の会談まで待てば、もっと得られるかもしれない」と思わせる、交渉上の含みを残したやり方だとも言えます。

また、気になる発言もありました。

パデュー駐中国米大使は9月27日の米FOXニュースの番組で、トランプ大統領が習主席に「(武器を)買いたいか」と尋ねたと語りました。トランプ大統領は翌28日、「大使は台湾のことを言ったのだろう」と述べ、国務省は米国の法律で中国への武器売却は禁じられていると説明しています。

大使の発言は、会談で台湾への武器売却が話題になった可能性をうかがわせますが、実際に何を指していたのかは、現時点では確定できません。

ただ、政権の内側から出てくる言葉がこれほど揺れていること自体が、台湾をめぐる米国の意思決定の不透明さを物語っていると、私は受け止めています。

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