【1-2.取引:大豆は前進、牛肉は記載なし】
会談前、米国の農業州の議員からは、大豆(Beans)、牛肉(Beef)、ボーイング(Boeing)の頭文字をとった「3B」への期待が語られていました。
しかし、フタを開けてみると、ファクトシートに並んだのは、もう少し地味な項目でした。
米中の貿易委員会が、双方それぞれ300億ドル分の「非センシティブな品目」の関税を優遇する勧告で合意したこと。中国が2027年と2028年に、それぞれ1,000万トン以上の米国産石炭を輸入すること。そして、レアアースと重要鉱物の出荷を「適切な水準」に戻すことや、フェンタニルの原料となる化学物質の輸出規制などです。
大豆については、年2,500万トンを2028年まで買い続ける約束が守られているとベッセント財務長官は説明しましたが、そのほかの農産品の約170億ドルの購入は「やや遅れている」と認めています。牛肉はファクトシートに記載がなく、ボーイングについても新しい大型の発注は出ていません。
貿易休戦の期限を11月10日から2027年1月10日まで延ばす措置も、会談の成果ではなく、前日の閣僚級協議を経て発表されたものでした。
前号で私は、この延長を首脳会談の「決裂」を避けるための保険だと読みましたが、結果を見る限り、会談は予定どおり「管理された安定」の演出として終わったと言えます。
晩餐会には、マスク氏、フアン氏、クック氏らを含む30人を超える米国の企業トップが顔をそろえましたが、中国の企業トップの姿はありませんでした。2015年の習主席の訪米では、アリババ創業者のジャック・マー氏らが同席していたことを思えば、対照的な光景です。
これが対米投資をめぐる協議の難航を示すものだという見方もありますが、現時点では憶測の域を出ないと申し上げておきたいと思います。
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