「トランプと習近平の握手」と「一度も“台湾”の文字が出なかった」の裏側。米中首脳会談で先送りされた争点が迎える“次の期限”

 

【1-4.「同盟」の演出と日本】

冒頭で触れた「第2次世界大戦の同盟」という言葉に戻ります。

木原官房長官は9月25日の記者会見で、習主席の発言そのものへの論評は控えつつ、日米は戦後に和解し、最も信頼し合える同盟国になったこと、そして日本が一貫して平和国家として歩んできたことを強調しました。

翌26日の夜には、高市首相とトランプ大統領が約20分間の電話会談を行い、中国をめぐる経済と安全保障について日米の連携を確認しています。米中首脳会談の直後に日米の首脳が電話で話したこと自体が、日本側の不安の大きさを物語っていると私は見ています。

その後も、日本にとって気がかりな動きは続きました。

中国の韓正国家副主席は9月26日の国連総会の一般討論で、日本への直接の言及は確認できていないものの、「戦後秩序を守れ」と訴えました。

中国外交部の郭嘉昆報道官は29日、日中共同声明の54周年にあわせて日本の歴史認識と台湾をめぐる発言を批判し、30日には小泉防衛相の「タブーなき核議論」をめぐる発言を「露骨な挑発」と非難しています。

前号で取り上げた国連憲章の旧敵国条項をめぐる応酬から、米中首脳の「同盟」の演出まで並べてみると、中国は日本を「戦後秩序に挑む国」として描く物語を、国際社会の場で着実に積み上げていると私は読んでいます。

これに対して日本が「誰と戦ったか」という過去の土俵で応じれば、相手の土俵に乗ることになります。

私がかつて国連の一員としてコソボやイラクの現場に立ったとき、日本の名前が現地の人々に信頼をもって受け止められたのは、軍事力のためではなく、道路や学校や病院を黙々とつくってきた実績のためでした。

「物語には、物語ではなく実績で応じること」が、日本が取り得る最も強い反論だと私は考えています。

習主席は9月25日朝の茶会で、年内にあと2回トランプ大統領と会う機会があると述べました。11月の深センでのAPEC首脳会議と、12月14日から15日のフロリダ州マイアミでのG20サミットです。

実現すれば、米中首脳は1年に4回会うという異例の頻度になります。会う回数が増えるほど、日本と台湾に関わる言葉が、両国の頭越しに書かれる機会も増えていきます。

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