人は何を持って前向きになれるのか? 震災復興の鍵を握る「希望オペレーション」

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震災から4年、思うように進まない復興に、被災地には失望感が広がっています。そんな中、危機管理のプロ・小川和久さんがメルマガでも提唱しているのが『オペレーション希望』というもの。「子どもたちの未来は、大人の精神的安定で決まる」。これなら確実に復興できる具体策です。

 

いまこそ『オペレーション希望』を

『NEWSを疑え!』第378号より一部抜粋

4年前の2011年3月11日午後2時46分、私は連続4年目となるI(部内選抜)課程の卒業記念講演のため、福岡県久留米市の陸上自衛隊幹部候補生学校の大講堂の壇上にいました。

話し始めて30分あまり。学校長の森山尚直陸将補(現・防衛大学校幹事)が壇上に駆け上がってきて、大判のスケッチブックを頭上に掲げました。そこには、にわかには信じがたい文字が躍っていました。

「東北地方で地震。震度7」

講演を聴いている卒業生の中には、東北地方出身者や東北の部隊で勤務している人も少なくありません。みな沈痛な面持ちです。私は、新しい情報が入り次第伝えると前置きし、講演を続けました。

講演が終わった午後4時15分、学校長室には自衛隊の部隊が続々と東北地方を目指して前進し始めている様子が、次々に伝えられていました。

それからの18時間ほど、東京に戻ろうにも空の便は止まり、電話も通じないなかで、かろうじてTwitterで連絡を取りながら、テレビの画面で押し寄せる大津波や炎上する気仙沼の街の様子などを、それこそ歯ぎしりしながら眺めるしかありませんでした。

それから2週間後、私はメルマガ『NEWSを疑え!』を創刊し、そこに次の内容を記しました。

◎頭脳なき国家・日本──司令塔不在が天災を人災にする
・官僚丸投げが司令塔の不在を生んだ
・地震発生後3時間で実行すべき危機管理はこれだ
・危機管理の要諦は「拙速」。人災は「巧遅」から生まれる

それから4年たって、危機管理のスピードは少しは上がっていると思いますが、まだまだ十分とは言えないレベルに終始しています。

創刊第2号(2011年4月1日号)では、私は復興に向けての提言を行いました。
◎政府は認識すべし──『希望』の創出こそ復興の原動力だ
・自衛隊、消防、警察、海保の第一線──心のケアが必要な段階に
・見捨てられた避難所
・子どもたちの未来は、大人の精神的安定で決まる

3月31日には、ほぼ同じ内容で、政府の復興構想会議の議長代理に就任した御厨貴東大教授と1時間半にわたってテレビ対談を行いました。

震災4年のマスコミの特集から思い知らされたのは、被災地から希望が失われつつあるという懸念したとおりの展開でした。これからでも有効だと思いますし、今後の大災害時には必ず実行に移してもらうために、創刊第2号のうち「子どもたちの未来は、大人の精神的安定で決まる」の部分をご紹介しておきたいと思います。

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