スウェーデンで出版され、世界中で翻訳されているある一冊の絵本。今回の無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』では本書を、「わたしのせいじゃない」と自分を正当化する多くの人間の姿を通して、いじめの本質に迫る良書であると推薦するとともに、スウェーデンでの「いじめへの有効な考え方」も紹介しています。
大人の責任
『わたしのせいじゃない-せきにんについて-』
レイフ・クリスチャンソン 著 ディック・ステンベリ 画
二文字理明 翻訳/岩崎書店
絵本『わたしのせいじゃない-せきにんについて-』は、いじめの本質に迫る良書である。スウェーデンの作家レイフ・クリスチャンソンらによるこの作品は世界中でロングセラーとなっている。教室で泣くひとりの男の子をめぐって、周囲の人間が「わたしのせいじゃない」と自分が悪くないことを主張する。ページを繰るたびに、明らかな加害者から傍観者までが自分を正当化する姿が描かれる。作者は、その姿を通して、いじめの本質に迫っていく。
スウェーデンでいじめ防止に取り組むNGOに「FRIENDS」がある。FRIENDSでは、いじめを解決する責任は大人にあると考える。しかし大人には、いじめが起こったことを知ることは難しい。そこで子供には、いじめの事実を大人に知らせる責任があると教える。
この考え方は実に有効である。子供が大人にいじめを知らせないのは、報復を恐れる気持ちもあるが、言っても無駄だという考えがあるからである。しかし無駄かどうかにかかわらず、解決の責任は大人にある。子供は子供自身の責任として大人に知らせる。
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