企業を運営していく上で、もはや無視することは出来ない環境問題。とは言え、具体的にどのような取り組みをなすべきか迷われている経営者が多いのも事実です。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では著者の梅本泰則さんが、一見関連がなさそうにも感じてしまう環境問題とスポーツ業界の接点を紹介するとともに、「SDGs(エスディージーズ)」について学びを深めておく重要性を記しています。
環境問題とスポーツ用品
プラスチックゴミの問題が、大きく取り上げられるようになっています。地球環境にとってまずいことになりそうだからです。
あなたは今、「いったい何を言い出すのか」「それとスポーツショップは、どんな関係があるの」と思っておられるかもしれません。そう思われるのは、ごもっともです。スポーツと地球環境の問題とは、どうにも結びつかない気もします。
とはいえ、ゴミの問題は、多少関係しているかもしれません。例えば、サッカーの試合が終わったとき、日本の観客は会場のゴミを片づけます。選手も、試合後には使ったロッカールームをきれいに片づけるチームが多いそうです。今の日本には、そんな文化が根付いているのでしょう。
その一方、スポーツを離れれば、日本の二酸化炭素排出量は11.9億トン(2017年)で世界5位です。また、日本で出る一般ゴミの量は年間約4,000万トン、食品廃棄物は約2.8千万トンとされています。これらが地球環境に与える影響が大きいことは想像できるでしょう。
そして、世界的な問題として出てきたのが、海のプラスチック問題です。海に捨てられたプラスチック製品は、小さな破片となって海洋生物に取り込まれます。食物連鎖のトップにいる人間は、その小さな破片を体内に入れるのです。自らまいた種とはいえ、何とかしなくてはいけないでしょう。
そんなことも含めて、世界が環境や社会問題に取り組んでいます。その一つが「SDGs(エスディージーズ)」です。
SDGs
SDGsとは、サステナブル・ディベロップメント・ゴールズの略で「持続可能な開発目標」と訳されます。このSDGsの内容を理解するのは、けっこう難しいです。ですから、日本各地でSDGsについてのセミナーや講演が頻繁に開催されています。
私も正確に分かっているわけではありませんが、「より良い地球環境や社会環境を継続させるための活動目標」ということでしょう。
そして、SDGsには、「貧困をなくそう」とか、「住み続けられるまちづくり」とか、「つくる責任つかう責任」といった17の項目について、目標があります。それは、国連で決められた、2030年までに目指す国際社会共通の目標です。
すでに、SDGsの活動を積極的に行っている日本企業も多く現れています。環境を良くすることは、企業の社会的責任だという意識の高い会社です。
実は、スポーツ用品業界でも、そんな意識の高い会社があります。それは、アディダス社です。例えば、アディダスには「パーレイ・コレクション」という一連のウエアやシューズがあります。これに使われている素材は、リサイクルされた「パーレイ オーシャン プラスチック」です。テニスの大坂なおみ選手も着て、話題になりました。海洋プラスチック問題に取り組んでいる団体、「パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ」と提携して開発されたのです。まさに、海洋汚染の軽減に貢献しています。
さらに、「テイクバックプログラム」では、使用済みのウエアやシューズ、バッグなどを回収する箱を店頭に設置。集まった商品をリサイクルして商品化しています。すごい会社ですね。この企画は、限定的ですがアシックスも行いました。