ウクライナからの同国上空の飛行禁止区域設定要請を拒否し、戦闘機の供与にも難色を示したアメリカ。なぜバイデン政権はこのような姿勢を見せているのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、米国が現在のプーチン大統領及びロシアに抱いている認識を紹介。さらにNATOがもっとも恐れている、人類滅亡へとつながるシナリオを伝えています。
ウクライナ侵攻が【第3次世界大戦】に転化する可能性
「ウクライナ侵攻」で、プーチンは、歴史に「永遠の悪名」を残すことになりました。最近では、プーチンの顔にヒトラーの髪の毛とヒゲを書いた写真を掲げ、反戦デモに参加している人が目立ちます。ヒトラーとプーチンを合わせて、「プトラー」いう用語が使われるようになっている。
ところでヒトラーといえば、「第2次大戦をはじめた男」として知られています。大陸欧州全土を一時征服し、ソ連に攻め込み失敗。アメリカ、イギリス、ソ連を中心とする連合軍に敗北した。
ヒトラーと比較されているプーチンは、どうなのでしょうか?第3次世界大戦を起こすのでしょうか?
信じたくないですが、その可能性はあります。
実をいうと、アメリカとNATOは、「プーチンに第3次世界大戦を起こさせないよう」とても気を遣っているのです。どういうことでしょうか?
ウクライナへの戦闘機供与に反対するアメリカ
ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカとNATOに「ウクライナ上空を飛行禁止区域にしてくれ」と要請していました。要するに、ロシアが制空権を握るのを阻止してほしいと。空爆を防いだり、空輸によるロシア軍への補給を阻止するために。しかし、アメリカとNATOはこれを拒否しました。
そこで、ゼレンスキー大統領は、「それなら戦闘機を供与してくれ!」と要請しました。それで、ポーランドは、「ウクライナに戦闘機をあげたい」と考えた。
ポーランドは、ウクライナの西隣に位置し、難民が殺到している国です。すでに120万人のウクライナ人がポーランドに逃れ、その数は日々増加しつづけています。ポーランドは、ウクライナの悲惨さとプーチンの脅威をもっとも感じる国。それで、「ウクライナに戦闘機を供与して助けたい」と考えた。
しかし、アメリカは、これを支持しませんでした。AFP=時事3月10日。
米国防総省は9日、ポーランド軍の戦闘機を米国を介してウクライナに供与する案について、「リスクが高い」として支持しない立場をポーランド側に伝えた。
これ、「とても冷たい」と感じる人もいるでしょう。「バイデンは弱腰だ!」と批判したくなる人もいるでしょう。「ウクライナがかわいそうだ!」と憤る人もいるでしょう。









