ビジネスやスポーツ、学校などで人を指導する立場において「優れている」人は多いのですが、そうした指導者たちは一体何をしているのでしょうか。ロングセラー『君と会えたから』『手紙屋』などの著者として知られる作家の喜多川泰さんのメルマガ『喜多川泰のメルマガ「Leader’s Village」』では今回、指導する側がしっかりと肝に銘じなければいけないポイントを紹介しています。
この記事の著者・喜多川泰さんのメルマガ
一貫性がなくても大丈夫
上司やコーチ、先生など、人を指導する立場の人にとっての仕事は大きく分けると「二つ」あります。
一つは「能力を伸ばすこと」。
もう一つは「持っている能力を最大限に発揮できる人に育てること」。
この二つはまったく異なる能力なのに、あまり区別できていない指導者が多い。
ここに10の力を持った人がいる。この人を一生懸命指導して100の力を身につけさせたとする。ところが、その指導法が原因で、その人の持てる力の10分の1しか発揮できないようになったとしたら肝心なときに発揮できる力は10ということになる。ミスをしたら懲罰を与えたり、恐怖で押さえつけて指導をすると、肝心なところで萎縮してしまい、そうなると言われていますね。「イップス」などがそれです。
一方で10の力を持った人に自分の持てる100%の力が発揮できるように指導をしたとする。でも元々の力を育てることをしなければこの人も肝心なときに発揮できる力は10ということになる。
能力を伸ばすためには、練習を繰り返したり、基礎体力をつける、広く深い知識を身につけるといった、負荷をかけることによって成長できるフィジカル面の成長が欠かせない。一方で、持てる力を最大限に発揮できる人になるためには、メンタルブロックと言われる精神的バリアを取り去る、メンタル面での成長が欠かせない。
優れた指導者というのは、そのバランスをしっかりとっている。
1年後にどうしても合格したい試験、優勝したい大会、習得したい技術がある。そのときに考えるべきは「ドリル」。つまり反復練習によって動きや知識や必要な筋力を育て、無意識のうちに動けるよう身につけることでしょう。でもそれは、明日が人生をかけた大一番というときにするべきことではない。そこでは持てる力を100%発揮できるように心も身体も休ませる必要があるし、メンタルの面をいかに前向きにしてあげられるかに変わっているはず。
一つの目標を達成するための指導においても、このように時期によって必要なことは変わってくる。
もちろんそれだけじゃない。相手の状況によっても大きく変わる。
授業は練習すれば誰もが上手になるんですね。逆に、練習しなければ上達しない。その意味では「我流」で成長しようとするよりも、良い指導者に見てもらいアドバイスをもらった方がいい。
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