「マスク意味無し論文」を潰した“エビデンス界の最高権威”の重罪

Tokyo,,Japan,-,October,11,,2022:,Locals,And,Tourists,Waiting
 

私たちがこの3年、常に着用し続けてきたマスク。そんなマスクを巡って今、世界的大論争が起きていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、小林よしのりさん主宰の「ゴー宣道場」参加者としても知られる作家の泉美木蘭さんが、その騒動を詳細に紹介。もはや地に落ちた「エビデンス界の世界最高権威」の実態を伝えています。

この3年間はなんだった?「マスクに感染予防効果なし」は本当か

医療情報の評価を世界的に展開しているコクランから、今年1月末、「マスクをつけた場合とつけない場合を比較して、インフルエンザやコロナにかかる人の数にはほとんど差がない」とする論文が発表された。

コクランは、イギリスに本部を置く国際組織で、「根拠に基づく医療(EBM=Evidence Based Medicine)」を掲げ、急速に発展する治療や予防に対して、その内容を査定する活動を行っている。

活動をまとめた論文が収録される『コクラン・レビュー』は、“エビデンス界の世界最高権威”とされ、これまで世界の医学界の教科書として専門家たちから重要視されてきた。

そこに、さんざん珍重されていたはずのマスクに意味がなかったという内容が掲載されたことで、今、世界的に大きな物議を醸している。

61万人以上が参加した調査で判った「マスクに意味無し」

コクラン・レビューは、2011年、2020年にもマスクに関する論文を発表しており、いずれも「マスクをつけてもつけなくても差がない」という結論だった。

今回の論文では、世界各国でこれまで行われた78件の研究──2009年、2016年のインフルエンザ流行期/非流行期、2020年以降のコロナ禍において、病院、学校、家庭、職場、地域社会などで61万人以上が参加したマスクに関する調査を評価。

複数のデータを吟味したうえで、「マスクに感染予防効果がある」と結論づけられた論文は「信頼性が低い」と指摘し、「マスクをつけた場合とつけない場合を比較して、インフルエンザやコロナにかかる人の数にはほとんど差がない」「N95マスクと医療用・手術用マスクを比較して、おそらくほとんど差がない」と判断した。

ただし、「手指衛生(手洗い)」については、呼吸器系ウイルスの感染拡大を抑制するのに有効かもしれない、としている。

コクラン・レビューを全力で無視した日本の専門家

ところが、コクラン・レビューが1月30日に発表された直後、これをまるっと無視したのが日本の「専門家」だ。2月8日、厚労省アドバイザリーボードに、西浦博からマスクに関する資料が提出されているのだが、そのタイトルは…

「マスク着用の有効性に関する科学的知見」!

そのスンバラスィ~知見→ マスク着用の有効性に関する科学的知見

内容は、世界各国のマスク着用政策に関連した研究を引用したもので、さも「マスクの有効性は明らかである」かのような書きぶり。しかも、インフルエンザや従来の風邪の感染経路は勝手にさておいて、コロナについてのみ「無症状の感染者から2次感染が起こり、また、多くの感染者が発病前に感染性を有するとき、自宅以外での屋内空間で他者を感染させる性質があるため」、マスクは有効だと展開していた。

10日前に発表されたばかりの“エビデンス界の世界最高権威”であるコクラン・レビューには、どういうわけだか一切触れず、真逆の見解で押し通したひどい内容である。

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