都合のいい消費税の「言い訳」にダマされるほど国民はバカじゃない

shutterstock_45656035 copy
 

2017年4月から消費税は10%に増税しますが、それに先だって自公両党の合意で加工食品を含む食料品について8%に据え置くとした、軽減税率が決定しました。メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、今回の軽減税率が決定するまでの裏を、過去の消費税を巡る政治家と国民の歴史を紐解きながら分析しています。

消費税で社会保障と財政再建―果たされない約束の歴史

本日は「消費税の本質的な問題」についてということだが、この「消費税」については長い長い政治の歴史がある。今回、軽減税率について自民党と公明党での話し合いに決着がついた。税金を高くするのは良くないということで、食料品については原則8%に据え置くというように至った。基本的に税の目的は何なのかということをおさえて税の問題を考える必要があると思う。

公平・公正、簡素で税制再建に役立つ

税で昔から言われているのは、「公平公正簡素で税制再建に役立つ」という原則の中で考えていかなくてはならないと言われているのだが、税金の議論が始まると各党とも自分の党にとって有利なようにしていこうとする。さらに選挙に有利なようにしていき、税金の問題は段々わけのわからない議論にされてしまうというのが大きな特色。

消費税導入を検討

過去を振り返ると、消費税の話が出てきたのは大平政権の時代。それまでは法人税と所得税と言うのが税の中心だったが、田中内閣時代から公共投資などさまざまなことをしてきたことで税金が段々と足りなくなってきて、「財政赤字がひどいので薄く広く国民から徴収する」一般消費税の導入を決定した。しかしながら、猛烈な反対に遭い、選挙で大敗し断念。

続いて、1987年2月に中曽根政権時代に「売上税」法案を国会に提出したが、国民的な反対に遭い、5月に廃案。いかに税金を通すということが難しいかというのがあるものの、この辺にきて段々財政赤字が行き詰まる

消費税導入とその後の歴史

そこで竹下政権時代に竹下氏は腹を決め、88年12月に「消費税法」成立し、89年4月税率3%で施行。財政再建では国民が納得してくれないので「高齢化社会」のためにやるという宣伝をし、消費税は「社会保障と財務再建」のためにやるということを位置づけ、それ以降二大看板となって今までに至る。リクルート事件の影響もあったが、消費税を導入したことで6月に辞任せざるをえなくなった。これらのことからの税金というのは政治家にとって大きなハードルであると言える。

その後、細川政権では「消費税」を廃止し、税率7%の「国民福祉税」構想を発表したが連立政権内の足並みが乱れ、発表翌日には撤回するに至り失敗。そして、「自社さ連立」の村山政権3%から5%に「消費税」を引き上げる法案を可決し、橋本政権でその法律に基づき5%に引き上げを実施したものの参院選敗北。この辺でさらに政治家たちに税金は鬼門だと擦り込まれていく。

print
いま読まれてます

  • 都合のいい消費税の「言い訳」にダマされるほど国民はバカじゃない
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け