なぜ太めのママの子供は肥満児が多いのか―ワシントン大学博士が解明

2016.01.07
by NozomiK
shutterstock_217810483
 

よく「子は母親の体型に似る」と言われますが、その原因が科学的に解明されました。米大学の研究によると、お母さんの腸内細菌が大きく影響しているのだそう。無料メルマガ『Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報』で詳述されています。

肥満は「デブ菌」による感染症を科学する

前回「デブ菌」のお話をしましたが(「人を太らせる細菌が実在する! 肥満が感染症だったと米研究」)、今日はより科学的な「デブ菌」の証明についてです。

これは米国ワシントン大学のMatej Bajzer博士らが、権威ある科学誌として定評のあるネイチャー誌に報告したものです(Nature 444, 1009-1010 論文タイトル:Obesity and gut flora)。

ごぞんじのように、哺乳類の腸内には1,000種類以上の細菌が住んでおり、食べ物を消化したり、栄養物が腸管に吸収されるのを助けています。

ヒトやマウスの腸管に住む細菌は、バクテロイデス(B:Bacteroidetes)類かファーミキューテス(F:Firmicutes)類のいずれかのグループに属することがわかっています。

そこで研究では、まず太ったマウスとやせたマウスの腸内細菌について、B類とF類の割合を比べました。すると、太ったマウスでは、F類に比べ、B類細菌が50%以下と非常に少ないことがわかりました。この現象は、ヒトの場合も同様で、太った人ほどB類が少なかったそうです。

次に太ったマウスにカロリー制限を行い、体重を減少させたところ、B類が増えると同時にF類が減ることがわかりました。

さらに、細菌がまったくない状態で飼育したマウスに、それぞれ太ったマウス由来の腸内細菌を、あるいは逆に痩せたマウスの腸内細菌を与え、もともと無菌状態で育ったマウスの体重がどのようになるかを調べました。その結果、2週間後の体脂肪増加率を見ると、肥満マウスの腸内細菌を与えた場合は約47%増加したのに対し、痩せたマウスの腸内細菌を与えられた場合には約27%の増加しか見られないことがわかりました。

以上の結果から、B類細菌が減ってF類細菌が腸内に増えると、食事からのカロリー回収率が高まり、体重増につながると結論されています。

ちなみに、お母さんのお腹にいるときは、子供は無菌状態です。子供の腸内細菌は、生まれてからお母さんとの密接な付き合いで、お母さんの腸内細菌を受け取り、それが一生保たれて、その人の腸内細菌の種類が決まるといわれています。

すなわち、お母さんが太っていると、お母さんからF型細菌をもらい、逆にお母さんがスリムだと、お母さんのB型細菌を多くもらい、その後もその状態が続くことになります。

ということは、大きくなってから太るのを嫌い、またお母さんがF型細菌を多く持っている人の場合は、乳児のときに、B型細菌を持っている人と密接な付き合いをしてもらうとよいのかもしれませんね。

image by: Shutterstock

print
いま読まれてます

 

Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報
こっそり、目からウロコの情報をお教えします。世界の医学誌からの信頼情報のみです。専門家も知らない情報を先取りして、健康維持に。
<<登録はこちら>> 

  • なぜ太めのママの子供は肥満児が多いのか―ワシントン大学博士が解明
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け