どうしたスズキ。軽カーの雄らしからぬ新型アルトの「座りの悪さ」

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多くの声に応えるかたちで昨年発売されたスズキの新型「アルトワークス」。カタログでは「走り」を売りにしていたはずが、いざフタを開けてみるとちょっと様子が違っているよう? 無料メルマガ『週刊くるまーと ~賢く選んで、楽しく運転~』では、スズキの自動車メーカーとしての企画力の甘さに疑問を投げかけています。

新車心象風景:スズキ・アルトワークス

アルトに久々のターボが出た! と盛り上がったRSは、スズキ的にはアルトの上級グレードという認識だったそう。だからMTは設けなかったし、足周りもあまり固めなかったとか。

けれども、その説明はいささか理解しがたい。実際、RSのカタログでは結構ベタに「走り」を謳っていたし、これってアバルト? な外見もまんまスポーツ仕様。そもそも「ターボRS」なんて名前もそうだしね。

メディアもそんなアナウンスはほとんどせず、走り仕様としてこの5ASGはいかがなものか? のオンパレードだったから、当然ユーザーへの周知もなかったに等しいわけで。

ところが、走り仕様はこっちですよと出したワークスは、これまたどこから見てもRSの付加価値版で、エンジンはもとより内外装に至るまで、RS+αな感じだ。

つまり、アルトは素のグレードと、スポーティなターボRS、もうちょっとスポーティなワークスという、どうにもバランスの悪い展開になってしまったんである。

で、スズキは「RSを出した時点でワークスの想定はなかった」と言うけれど、早々にMTの要望が出るのは目に見えていたんだし、この説明はなかなか理解しにくい。

いや、だからRSは上級仕様なので…と言うのかもしれないけど、予想どおりのMT待望論に結局簡単に乗ってしまったのを見れば「だったら最初から想定しておきべきでしょ」となるんである。

いや、長年クルマを作ってきたメーカーが、こんなに甘い商品企画をしたとすればちょっと驚きじゃないか。実際、20万円の差はあれど、あえてRSを選ぶ理由はほとんどなくなったように思える。

いまさらだけど、もしRSが上級グレードだというのなら、変にスポーツ方向じゃない付加価値を徹底して施すべきだった。外装は当然アバルト風の必要はないわけで、新色をメインにしたアクセントの追加。いささか質素な内装はシートに限らず、貧弱なセンターコンソールやドア内張りなどを含めたひととおりの見直しを。

「そんなに豪華にしたら高くなっちゃうでしょ」という意見もあろう。けれども、エンジンや内外装にそこそこ手を入れたRSで129万円。たとえば、これに1台あたり5万円分の素材を追加投入すれば恐らく相当な「手当」ができる筈だ。

そうすれば、ベースに対し135万円のターボ付き上級仕様」、150万円のワークスと、性格を明快に変えた面白いシリーズが展開できたと思う。もちろん、上級仕様をベースにワークスを作ればさらなる相乗効果もあったわけだし。

アルトは和田智氏によるという斬新なデザイン軽量ボディが素晴らしいけれど、ベーシックな車格故にユーザーを限定してしまうことが惜しかった。

そこに、せっかく特別な仕様を加えるのであれば、それなりに周到な企画を立てるべきだったと思うんである。

(すぎもとたかよし)

image by: Wikimedia Commons

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