【豆知識】生きてるうちに子や孫へ。生前贈与で損をしない4つの特例

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近年よく聞くようになった言葉のひとつに「老々相続」というものがあります。相続人も年老いていて、結局その資産を有効活用できないという問題を指しますが、長寿大国である日本にとって大きな痛手ではないでしょうか? メルマガ『こころをつなぐ、相続のハナシ』では、そうなる前に知っておきたい「贈与税の特例」をご紹介しています。

長寿時代に考える、相続のハナシ

現在の日本の平均寿命は、男性が80.50歳女性は86.83歳。長生きできるほどの環境の整備や医療の発達は素晴らしいことですが、一方で考えなければいけない事もあります。それは、「老々相続」の問題。

例えば85歳で相続が起きたとして、その相続人はお幾つなのでしょうか。兄弟が相続人になるのであれば、同世代です。子供であっても、60歳前後です。この世代は一般的には、子育てもひと段落、住宅ローンも払い終えるかどうかの頃。これでは、せっかく相続で財産をもらったとしても、有効的に資産を活用するのは難しいのではないでしょうか。

せっかく資産を渡すのなら、有効に使ってもらえるうちに渡したい。とはいえ通常、贈与での資産の移転は、相続で財産をもらうよりもかなり高い税金がかかります。これでは、なんだかもったいない気がしますよね。そこで知っておいていただきたいのが、いくつか存在する「贈与税の特例」です。

現在の日本には、できるだけ資産を有効活用できる世代に財産を渡して、たくさん使ってもらおう、という目的で、いくつかの制度が存在します。今回はその概要をお伝えします。ただしそれぞれの制度には細かな要件や、注意点等がありますので、実際に活用される際には最寄りの税理士さんにご相談の上、ご活用くださいね。

1. 110万円の暦年贈与

贈与税は、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です)。これは結構ご存知の方も多い制度ですね。

なおこの制度は、誰に対する贈与でも使えます。もちろん子供への贈与でもOKですし、孫への贈与にも使えます。全く血縁等のない第三者でも使えます。

なおこの110万円は、あげる人単位ではなく、「もらった人が1年間に受けた色んな人からの贈与の合計」である点に注意が必要です。

2. 相続時精算課税清楚

これは、一定の書類を提出することで、2,500万円までの贈与に対しては贈与税はかからず、代わりに相続のときに、相続税の対象として計算する、という制度です。結局相続のときに持ち戻されてしまうので、相続税の節税としての効果は薄いですが、「相続税より高くなりがちな贈与税ではなく、相続税で計算をしてもらえるのに、相続が起きる前お金が必要な時期等)に財産を移すことができる」という点がメリットです。

また、相続税の計算の際に持ち戻す価額は、贈与をした時点での価額になるので、たとえば、(予測は難しいですが)今後値上がりするであろう土地とか、業績の伸びていく会社の株式等に使うのであれば、相続税の節税の効果も一定は期待できます。

ただし、この制度をいったん選択すると二度と1で解説した110万円の贈与には戻れないなどいくつか注意点がありますので、この制度を使う際は、必ず税理士さんに相談してください。

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