アニメ業界のリアル。「SHIROBAKO」全話を観た現役クリエイターの総括

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クリエイターによる、クリエイターのための無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ』。今回は昨年秋から放送し、大ヒットとなったアニメ「SHIROBAKO」について話しています。どの話数もクリエイターあるあるや、クリエイターにとって大事なことが詰まっている作品なんだそうです。

クリエイターなら一度は観るべき! 大切なことを思い出させてくれるアニメ

久しぶりにとても感動したアニメシリーズだった「SHIROBAKO」。おかだ史上、5位以内に突然食い込んできた。とってもオススメのストーリーなので、詳しく紹介してみよう。

……とはいえ、3月末で2クール、全24話既に終了しているので、今から観るのであれば、DVDを買うか、レンタルするかになるが、Web制作の仕事をしている人や、何かを作っているクリエイティブな仕事をしている人は絶対に観たほうがいいと思う。

SHIROBAKO

ざっくりまとめると、アニメ制作会社のお話。

タイトルの元になっている「白箱」とは、ひとつの作品が完成した時に、制作者が最初に手にする完パケのビデオテープ(最近ではDVD)のことで、販売用にデザインされたパッケージとは違い、無地の地味なもの。しかし、その白箱には、制作に係わった人々の想いがたくさんつまっている。

実際にアニメ制作に関わる人たちの苦労やこだわり、夢や仕事に対するプロ意識などが描かれているのだが、人物描写の仕方がすごくリアルで「実際にこんな人いるよなぁ」と随所で感じることができる。

アニメ制作とは関係ないが、Webや多くのクリエイティブな業種でも、似たような人物が思い浮かぶはずだ。

各話、さまざまな名シーン、心に残る名言が出てくる。

5話「人のせいにしているような奴は辞めちまえ!」では、コミュニケーションの行き違いから、手描きの作画担当と、3Dでの描画のエンジニアが対立する場面がある。

shirobako-5

作画の担当(遠藤亮介)は、この先どんどん3Dに仕事を取られてしまうのではないかと危機感をもちつつも、作画に対するプライドがあるので、3Dを受け入れられずにいる。そこで、後輩(堀田)と一緒に、他社の先輩アニメーター(北野三郎)に居酒屋で相談するシーン。

堀田:「遠藤さんが描くはずだったカット、3Dでいくことになって……。あんまりですよね。3Dなんて時間ばっかりかかって、しかも出来たもんに味も情緒もないし。それに3Dには絵を描く喜びとか楽しさがないっすよ」

遠藤:「そうそう。そんなに3Dアニメが好きなら、カリフォルニアにでも行けっつーんだ。ですよね! 北野さん」

北野:「俺、今、3Dにジャパニメーションのコツを教えているよ。3Dソフトを使って、絵と時間のデフォルメをな。彼らは絵は描けなくても、アニメが好きだからな。覚えるのも早いし、教えてて気持ちがいいんだ」

遠藤:「北野さん、なんでそんなことやるんですか!」

北野:「俺たち絵描きが歩み寄って、3Dアニメーターの使うツールの長所も短所も知って、彼らと協力して、アニメの質を上げていくんじゃないのか?」

遠藤:「北野さん……そっちの人間だったんすか.……」

北野:「いじけて3Dを否定しても、何も良くならんぞ」

遠藤:「でも、現にこうやって3Dの奴らに仕事取られて!」

北野:「うまくいかないことを、人のせいにしているようなヤツは、辞めちまえよ!」

遠藤:「じゃぁもう、俺達みたいな手描きのアニメーターは必要ないって言うんですか!」

北野:「お前の描く絵が通用しなくなっても、技術を活かす方法はあるんじゃないのか? 鉛筆がタブレットに代わってもセンスは必要とされる。ま、お前も勉強してみればどうだ」

このシーンを見てて、自分のやっているWebの仕事でも似たような話があるよなぁと感じた。例えば、FLASHもそうだったし、最近では、デザイナーがJavaScriptや、プログラミングまである程度かじらないと、なかなかWebの制作では仕事が大変になってきている感じ。

また、逆にプログラマ、エンジニアの人たちが、デザインなんてわからないしって言ってたら、いいモノが出来ないから、双方が歩み寄らないとって感じ。すごく似ていて共感する。

>>次ページ クリエイティブな仕事の日常や苦悩が

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