社員が電車で痴漢したら、会社はどこまで「処罰」できるのか?

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従業員が私生活で犯した罪を会社は罰することができるのでしょうか?飲酒運転や痴漢など、あってはならないことが万が一起こってしまった場合に会社としてどこまで介入することができるのか、無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』で、現役社労士に詳しく聞きました。

注意!従業員の私生活上の行為への処罰は慎重に

たとえば、御社の従業員が犯罪を犯したとします。それも、仕事とはまったく関係ないことで…。あるいは、社内で不倫をしていたとします。このような事実が発覚したとき、従業員を罰することができるでしょうか? 懲戒処分を科すことができるでしょうか?

基本的には、従業員が私生活上で何を行っても、会社がとやかく言うことはできません。ましてや、その行為に対して、処罰を行うなどできる訳がない。

従業員は、御社に対して労働力あるいは労働時間を売っているのであって、私生活を売っているわけではない。私生活に御社の支配権が及ぶなどという考えは、傲慢そのもの、到底許されるものではありません。これが、従業員の私生活上の行為に対する基本的な考え方です。

しかし、例外もあります。それは、従業員の私生活上の行為が、御社の事業活動に悪影響を与えたり、御社の社会的評価や評判を下げるような場合。

たとえば、痴漢行為。小田急電鉄の社員による電車内でのたび重なる痴漢行為に対する懲戒解雇が有効とされました(まあ、何度も痴漢で捕まっておきながら、懲戒解雇になって、その無効を争うなんて、とんでもないゲス野郎だけど…)。この事件では、痴漢撲滅に力を入れている電鉄会社社員による痴漢行為ということで、厳しい処分も有効とされました。しかし、同じような電車内の痴漢行為でも、初犯で、しかも執行猶予判決が出された者への懲戒処分を無効としたものもあります。バスやタクシーの運転手が行った飲酒運転に対する懲戒解雇などの厳しい処分は、認められやすい傾向があります。

要は、従業員の私生活上の犯罪行為であっても、それが、その従業員の職務と密接に関連するような場合には、厳しい処分もOKとなり易いということです。

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