台湾人が問う、日本の「植民地支配」は本当にあったのか?

台湾人が問う、日本の「植民地支配」は本当にあったのか?
 

間違いだらけの戦後日本の植民地観

しかし、ここで改めて指摘したいのは、日本が台湾に対して一時的に植民地的な経営を行っていたからといって、それは搾取や虐殺とはまったく関係なかったということである。

そもそも日本人の植民地観は、戦前と戦後で大きく変化しており、場合によっては「価値逆転」や「倒錯」意識さえもある。しかし、19世紀の「植民地」主義思想は、人類最大の理想であり、もっとも進歩的な思想として考えられていた。先進国である列強が、弱小民族や未開民族に文明開化をもたらすことが、列強時代の倫理的責任や使命であると考えられてきたのだ。つまりそれは、社会主義国家と同じく、「解放の思想」であったのだ。

それが一転して植民地主義が「悪」の象徴として捉えられるようになったのは、大正デモクラシーの時代から戦後に至って、「人類解放、世界革命、国家死滅の社会主義イデオロギーが植民地思想に代わり、20世紀のもっとも進歩的思想として流行、一世を風靡してからである。

同じ解放思想であるにもかかわらず、解放の主役が植民主義思想は「先進民族」であるのに対し、社会主義は「先進的プロレタリア階級」であるという違いから、日本では社会主義を信奉する進歩的文化人による悪意に満ちた歴史捏造が繰り返し広められた。社会主義イデオロギーによる植民地批判は、理論先行が中心であり、理論を成立させるためには、彼らは歴史の捏造をしてでも主張を曲げない

植民主義思想も社会主義思想もすでに過去のものとして語られるものだが、日本ではいまだ社会主義思想に染まった進歩的文化人が跋扈している。そのため日本人は、今日に至ってもなお、植民地主義に対して大きな見当違いをしているのである。

たしかに欧米の植民地政策には、搾取や虐殺をともなうものが少なくなかった。それがまた、現代の「植民地に対する嫌悪」につながっているのだろう。しかし、戦後、悪罵され続けてきた「日本帝国主義下の○○植民地」は、欧米の植民地とは本質的に違い、台湾、朝鮮、満州のどこにも「植民地的搾取云々など見られなかったのだ。

それどころか、日本の台湾経営には「植民地的搾取」とはまったく逆の史実が残されている。たとえば、日本領台初期の明治28年(1895)、台湾総督府の支出はすべて日本中央政府の軍事予算から出されていた。明治29年度の台湾の歳入はたったの271万円で、日本の国庫補助は694万円であった。日本領台が始まってからしばらくは、このように日本の国庫からの補助で台湾経営が行われていたのである。台湾の財政が自立したのは、日本領台10年目以降であった。この事実を見ても、「植民地的搾取」があったどころか、台湾は日本におんぶにだっこ状態であったのだ。

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