部品点数は一般車の半分以下でOK。電気自動車が起こす新産業革命

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最新のテクノロジーとして脚光を浴びているEV(電気自動車)ですが、その誕生はなんと1830年代、今から180年前だとか。無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では著者の嶌さんが、ガソリン車からEVへのシフトが世界的に進み始めた背景と、EV化がもたらす自動車産業構造の大変化について、わかりやすく解説しています。

新産業革命をおこすEV

世界で初めて電気自動車(EV)が走ったのは、何と180年以上前の1830年代とされる。多分、遊園地で走っているゴーカートやゴルフ場のゴルフカートのようなものだったに違いない。電気モーターをのせて動力源にすれば簡単に走れたのだ。ゴーカートやゴルフカートから想像すれば、簡単に作れて早くから利用されてきたことはうなずける。ガソリンエンジンなど内燃機関に比べエネルギー効率も格段に高く、エネルギー費用はガソリンに比べ10分の1程度ですむ。

EVは内燃機関、クラッチ、変速機などが不要なので部品の数も少ない。一般乗用車の部品点数は3万点以上といわれるが、EVでは半数以下。走行時の二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の排出もないのでエコカーともいえる。しかし充電に時間がかかるほか、同一体積や重量の内燃機関に比べると走行距離が短いという欠点があり、これまで自動車エンジンの主流にはなれなかった。

ところが近年、急速にEVが脚光を浴びてきた。ガソリンエンジンによるCO2、NOxの排出で地球温暖化や大気汚染が深刻化し、地球と人体への影響も無視できなくなってきたからだ。

しかも、地球の大気汚染は一国の対応では解決しないため、世界全体で規制を考えなければならなくなっている。1997年の京都会議では、日本が議長国となって先進国を中心に目標値を決めたのだ。中国や新興国は今後の経済成長や近代化には石油エネルギーは必要と訴え、規制約束には加わらなかった。先進国はこれまでさんざん石油エネルギーの恩典を受けて成長してきたのだから、新興国に規制を課すのは歴史的にみて不公平だと主張したのである。

京都議定書ができた頃から経済は世界的な不況に入り込み、2008年にはアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻して世界的な金融危機へと発展してゆく。当然石油価格も暴落し、1970年代の中東危機の頃は1バレル=36ドルもした石油価格は1バレル=10.63ドルまで低落。石油問題はいったん鎮まった。

しかし世界景気が回復してくると再びジリジリと上昇。一時は1バレル=99.59ドルまで上昇し、再び石油とCO2問題、地球温暖化対策などが世界的課題となってきたのだ。

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