精神科医・心理研究家のゆうきゆう先生の語りかけるような優しいテキストと丁寧で分かりやすい解説で、「難しいのでは?」と思ってしまいがちな心理学が理解できてしまう!と評判の『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』。「まぐまぐ大賞有料部門 恋愛・心理」のカテゴリーにも入賞しました。そんなゆうき先生が、堀江貴文さんも共感したという「アドラー心理学」を教えてくださります。そもそも「アドラー心理学」ってどういうものなの?
★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★
アドラーとは、フロイトやユングと並び、
「心理の三大巨頭」
と言われる人物です。
アドラー先生、日本ではあまり有名ではありません。
しかし以前に紹介した、精神科医の「フランクル」先生ですとか、また「7つの習慣」などの書籍で有名なスティーブン・R・コヴィー博士も、このアドラー先生の影響を受けているとされています。
でも不思議と、アドラー先生自体の名前は、そこまで知られていません。みなさん影響を受けつつも、もとの名前は知られないのですね。
実はアドラー先生の思想、
「みんなが自由に持っていっていい金脈のようだ」
とされています。
誰もがあまり名前を出さず、勝手に持っていって使っちゃう、という。
またアドラー先生もそこまで書籍を書く方ではなく、弟子の人が書いた書籍によって世界的に知られるようになっています。
さてこのアドラー先生の考え方、具体的にどのようなものなのでしょうか?
今回はそんなことについて話してみたいと思います。
◆ 原因ではなく目的。
まず先生の思想の根幹を成す大切な一つが、
「原因論ではなく目的論」
という考え方。
たとえばですが、
「私は昔、虐待を受けたから、同じように子供をイジメてしまうんだ!」とか、
「以前にひどいトラウマを受けたから、何をする行動力も湧いてこないんだ!」
という人が時にいます。
しかしアドラー先生によると、「間違い」なのです。
アドラー先生は、トラウマや「原因」などを明確に否定します。
たとえばですが、同じ虐待を受けたとしても、受けていない人と同じくらいの生活を送っている人もいます。
また虐待によって「虐待はヒドイことだから、絶対にしないようにしよう」と誓い、他の人より優しく生きていける人もいます。
結局のところ、一つの原因が、それだけでその人すべてを作るわけではない…というのがアドラー先生の考え方です。
◆ 殺人の「理由」は、納得できる…?
他にも、たとえばよく、連続殺人ですとか、強盗ですとか、大きな事件がありますよね。
そのときに「どうして殺人をしたのか?」と聞かれて、
「イライラしていたから」とか
「幼いころに構ってもらえなかったから」と答える人もいます。
でもこの論理、納得できますか?
「あぁ、じゃあ殺してもしかたないや」
と思えますか?
イライラしていたからといって、みんながみんな、人を殺したりはしません。当然です。
幼いころに構ってもらえなかった人だって、たっくさんいます。
でもみんなが殺人をするわけではありません。
殺人をした人の「原因」というのが、どれだけ意味のないものか分かりますでしょうか。
そしてこれは、一般的な人の考える「原因」であっても、同じことが言えるの
です。
◆ 原因には、意味がない。
結局のところ、人間は「原因」ではないんです。
「目的」なんです。
たとえば殺人をした人がいたら、それは「殺したかった」んです。
もちろん、殺しそのものが目的ではないかもしれません。
でもたとえば本人にとっての、何より一番の目的こそが「殺すこと」だと、判断したのです。
だからこそ、とにかく殺した。
そしてすべての原因は、一つ一つ「あとづけ」みたいなものです。
小さなその原因が、一つ一つで本人を動かすわけではありません。
ただ全体として、本人は「もう殺すしかない!」「殺すことが最優先だ!」と考え、その気持ちに従って動いたのです。
当然ですが、その判断は、間違っています。
ただそれは、冷静に外から言えることで、本人の判断では「それこそがベスト」と考えていたのです。
◆ 怒りの原因は…?
これは「怒る」という場合も同じです。
たとえばよく、クレームをつけて怒る人がいますね。
「この店の対応が悪かったから!」
「この言い方がイラッと来たから!」
本人は色々な理由を言います。
しかしこれも間違い。
同じ対応があっても、怒らない人もいます。
イラッと来ても、怒鳴らない人が大半です。
しかしその人だけは、なぜか怒る。
これはアドラー先生からすると、
「とにかく怒り、相手を屈服させたいんだ」
と考えます。
たとえばストレスを抱えていて、どこかにぶつけたい。
大声で怒鳴って、少しだけスッキリしたい。
そんな気持ちを抱えている人が、たまたま怒る「理由」を見つけることで、それを「使って」、怒鳴ったりする…というわけです。
それだけが原因で、まったく怒る要素のない穏やかな人が、カーッと燃やされたかのように怒った…というわけではないのです。
◆ 泣いてる人も…?
これは泣くのも同じ。
泣くのは主に女性が多いですが、時に男性でもいます。
そんなときに、泣く本人は、
「あなたの行為がヒドかったから…!」
「私自身、どうしても許せなかったから…!」
というように、泣く理由を説明します。
これもアドラー先生に言わせると、
「とにかく泣きたかったから」
「泣く目的のために」
泣いている、というわけです。
もっと言うなら、泣くことによって、泣かれた側はなんとも反応しようがなく、ただ従うことしかできなくなります。
「そんなに泣くなよ…! 分かったよ…!」
と何かを了承し、それ以上しゃべることもできなくなってしまったりします。
そのコミュニケーションの「ために」、泣くわけです。
◆ 怒りは、どんどん切ない結果に。
もちろんですが、怒るのもそれに通じます。
怒ることによって、多くの人がビックリして、ついつい従ってしまいます。
そうやって従わせるために、あえて「怒り」という武器を選んでいるのです。
でも、それを繰り返しているのは、赤ん坊が泣き、怒るのとまったく変わりありません。親であれば、とにかく「うるさい」から、たとえばオシメをかえてあげたり、ミルクを与えてあげたりします。
泣く・怒ることによって、相手を従わせるわけですね。
そのコミュニケーション方法を、いっつまでも持っている人こそが、泣き・怒るわけです。
ただ当然ですが、それは永遠に使えるわけではありません。
相手はただ「うるさい」から従っているだけで、心から納得しているわけではありません。
それを繰り返していたら、相手はどんどん離れていきます。
お店だったら、一回はその希望が通るかもしれませんが、「もう来ないでください」と言われる可能性だってあります。
総じてどんどんソンをしていくわけですね。
◆ 怒ることの無意味さ。
実際、アドラー先生は三歳のころ、怒ったときに呼吸発作になり、
「怒ることは無意味でちゅ」
ということを認識したと言います。
いえ、実際そのセリフ言ったか分かりませんが。
いずれにしても、三歳のときにそれを悟り、それ以降、一度も怒ったことはないそうです。
スゴイです。
何にせよ、我々は常に怒ってしまうことも多いものですが、それでもすごく参考になるエピソードだと思います。
とにかく「怒る」というのは、短期的な意味合いしかないのです。
そして重ねて、本人は「◎◎のせいだ!」と言いますが、それは「意味がない」こと。
結局「怒りたい」ために、そして「泣きたい」ために、その原因を「使っている」だけなのです。
まずはこのことを、どうか覚えておいてくださいね。
★ 今回のまとめ。 「アドラー心理学1 ~怒ることの無意味さ」
○ 原因論に意味はない。それよりも目的論。
○ 泣く人、怒る人は、「泣くために」「怒るために」、その行動をしている。
○ 本人の言う「原因」に意味はない。
○ でもそれを繰り返していては、どんどんソンをしていく。
どうか覚えておいてくださいね。
では具体的にどうすればいいのか?
その話は、また次回から話していきましょう。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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