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この先10年、インデックス投資は不遇の時代か。レイ・ダリオが備える2022年相場の大転換=花輪陽子

2021年は株式インデックスが大きく伸びましたが、今年は状況が変わってきます。2022年はインフレによる物価上昇に見舞われながら、歴史的な低金利が続き、預金や債権を保有している投資家には非常に厳しい環境となるでしょう。2022年はどんな投資法がよいかを考えます。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)

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プロフィール:花輪陽子(はなわ ようこ)
外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。

2021年は株式インデックスにとって最高、債券にとっては最悪の年だった

こんにちは。シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。2021年は株式インデックスにとっては最高の年でしたが、債券にとっては最悪の年となりました。

2021年にS&P500が30%弱のリターン、MSCI All-World Indexが20%弱のリターンを上げる中、バークレイズのグローバル総債券インデックス(68兆ドルのソブリンおよび社債の幅広いベンチマーク)は5%弱のマイナスのリターンでした。
※参考:Global bond markets on course for worst year since 1999 – Financial Times

主な理由は、2回におよぶ政府債務の大量発行によるものです。

2021年当初に投資家はパンデミックからの回復が持続的な成長とリフレを期待しました。秋には、中央銀行が金利上昇に伴う高水準のインフレに対応する準備をしていることを示唆したため、短期債券は打撃を受けました。

コロナ前はシンガポールの富裕層の間では金融債への投資が人気でした。物価も安定しており、金利もしっかりとあった時代だったからです。

しかし、現在は物価が急激に上昇し、金利も歴史的に低水準で、預金や債券を保有している投資家にとっては非常に厳しい環境です。

この先10年、インデックス投資でリターンを得るのは難しい?

2020年、レイ・ダリオのヘッジファンド「ブリッジウォーター」は最高のパフォーマンスを出しました。しかし、2021年はブリッジウォーターの2つのファンドは高いパフォーマンスを出したものの、インデックスに及びませんでした。
※参考:Bridgewater’s return to co-CEO model rekindles management concerns – Financial Times

しかし、レイ・ダリオほど危機に備えている投資家はいないとも言われています。他の人が気づかないマーケットに起こっていることに気づける洞察力もあると言われています。

ヘッジファンドは文字通り、暴落相場にもヘッジすることができ、リスクを最小限に抑える運用を行う場合が多いです。必ずしもリターンを最大に狙うわけではありません。2022年のボラティリティが高い相場ではアクティブに軍配が上がる可能性があります。

歴史的な低金利からエクイティリスクプレミアムが高くなる可能性はあるものの、この先10年間はインデックス投資をしても大きなリターンが得られなくなる可能性が高そうです。

(※筆者注:エクイティリスクプレミアムとは、株式への投資によって、高いリスクと引き換えに株主が期待する追加リターンのこと。例えば、TOPIXと日本国債のリターンの差として推計するなど)

Next: インデックス投資では稼げない?2022年の世界経済と市場の行方



マーケットの歴史を100年などの長期間で俯瞰すると、急上昇の後には停滞時期があり、大幅な下落の後には急上昇があります。それでも超長期で見ると全体的には1つの上げ相場の中にあります。

例えば、2000から2010年は長い上昇相場の間の停滞時期でした。当時のことを覚えている人も多いかもしれません。

私は2000年の時に証券会社を就職活動していたので、毎日その日の日経平均や主要なマーケットの数字を手に書いて面接に挑んでいました。

2000年3月に日経平均は2万円を超えていました。しかし、2009年は8,000円でした。2007-2008年の1万8,000円からリーマン・ショックで真っ逆さまに落ちて2013年のアベノミクスまで回復をしなかったのです。

2000年に日経平均に投資をして、2009年に売却をしていたら、資産は半分になってしまっていたでしょう。

このような市場環境に陥ると、その期間内でリターンを上げることは可能なものの、タイミングの悪い時期に買い、売ってしまうと10年保有していても大きくマイナスになる場合も出てくるのです。

しかし、30年などもっと長期的なサイクルにかける場合は、10年などのベア市場を挟んでも、バイ・アンド・ホールドをしていればリターンを得られる可能性はあります。ベア市場は次の上げ相場の原動力となっている可能性もあるからです。

このように、複雑で難しい、プロの相場に入りつつある現在、個人投資家はどのような資産運用を心がければよいのでしょうか。

どうなる?2022年の世界経済と市場の行方

ゴールドマン・サックスの非常によいレポートを見つけたので翻訳しながら、要約と解説をしたいと思います。詳細はぜひ元記事をChromeなどで日本語に変換して読んでみて下さい。

次の10年間は、リターンが低く、強気市場よりもファットでフラットな市場環境になるだろう。

「ファット&フラット」市場とは、一定期間にわたってプラスの薄い総リターンがあるものの、大きな周期的な上げ相場の中断期間となる。1970-1980、2000-2010年などがこの期間にあたる。

特に3つの要因は、将来のインデックスリターンの低下を示している。

1. バリエーション(評価)が高い
世界の株式は世界のGDPに対して記録的な高評価に達している。評価の観点からは、今後10年間で、過去10年間よりも、株式およびその他の金融資産の絶対リターンが低下する可能性がある。

2. 金利は非常に低い
現在、名目金利(物価上昇率などを勘案して調整を行っていない表面上の金利)は歴史的な低水準にあります。

イングランド銀行が1314-2018の名目債券利回り、GDPおよび算術加重を出している。(図版11 Goldman Sachs)

3. 利益率が高い
特に金融危機後、テクノロジーの改善と、利益率が高く資本集約的なビジネスモデルに向けたインデックスの構成の変化(特に米国)によって説明できる。

総利益率は前回よりも安定し、全体として、インデックスリターンのよりフラットな環境を示していると予想される。

※出典:Global Strategy PaperThe Post-Pandemic Cycle: Part 1 – The New Alpha Bet

マクロの見通しを総合すると、パンデミック後のサイクルは、金融危機後のサイクルとは異なる可能性が高いとゴールドマン・サックスは主張しています。
※参考:What’s Ahead for Global Economies and Markets in 2022?

新年は大きな金融機関が1年間の見通しをウェブサイトなどにも挙げているので、チェックができます。海外金融機関の見通しについて、メルマガ内では詳細に解説しています。

Next: インデックスのリターンが低くなる中、投資家はどうすればよいのか



インデックスのリターンが低くなる中、投資家はどうすればよいのか

投資は短期で考えるのか、中期で考えるのか、長期で考えるのかによって大きくリターンが異なります。

ファットでフラットな市場環境を予測するなら、短期もしくは長期投資でないと利益を出すことは難しくなるでしょう。

2000年から2010年の間にも個人投資家が成長し、デイトレーダーが生まれました。この時期にもデイトレによって大きな収益を得た投資家もたくさん誕生したのです。

また、もっと長い期間で投資を考える人にとっては、この先10年の停滞など気にしなくてもよいのかもしれません。大きな上昇相場の中の、1つのおやすみの時期だからです。

また、インフレと低金利から債券への投資が難しい環境です。

コロナ前に購入した利率の高い債券なども繰上償還がかかっている銘柄も多く、投資家は銘柄の入れ替えを余儀なくされることもあります。

劣後債(普通社債に比べ、元本と利息の支払いの順位が低い社債)や新興国債券などよりリスクリターンのバランスのよい銘柄を選ぶなどの必要が出てきます。

しかし、日本の金融機関ではUSDの劣後債の購入が難しいようです。ETFのラインナップですら海外に比べると限定されてしまいます。こうした理由もあって、たとえ税金がかかっても海外で運用をしたいという日本居住者も多いようです。

劣後債、BDC、REIT、配当狙いで優良企業を保有などインフレを上回るリスクプレミアムが大きい株式や株式に近い金利商品に投資をすることも考えられます。

また、歴史的に金利が低い状態にあるために、自己投資やビジネスを始めるのもよいと思います。

最悪な状態は、現金や政府債券などマイナス金利状態の資産にお金を預け続けることです。

今後、市場に考えられるリスク

米国一辺倒の投資に偏っている投資家はポートフォリオの見直しを検討したほうがよいかもしれません。今後、市場に考えられるリスクとして――

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  • 2022年 インデックス投資のリターンが削られる 弱気市場での資産防衛術 海外からのレポート(1/28)
  • テーパリングによって、大調整されるハイテク株 マーケット価格に影響を与える5大要素 レイ・ダリオ氏(1/14)

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image by:Web Summit at Wikimedia Commons [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』(2022年1月28日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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