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10万円給付を待ちわびる一般国民を尻目に、富裕層はもう大きなプレゼントを受け取っている=鈴木傾城

国民は給付金の10万円が届くか届かないかでやきもきしているが、富裕層はとっくに株価上昇という「プレゼント」を受け取っている。富裕層がこんなことを言ったら暴動が起きるかもしれないので誰も何も言わないが、これは事実である。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

富裕層はいち早く資産を取り戻したということ

中国発コロナウイルスによって、アメリカの経済も壊滅的ダメージを受けて4月の失業者数は約2,050万人、失業率は世界恐慌以降で最悪の14.7%となっている。

これらの失業者はコロナ問題が長引けば長引くほど苦境に落ちるし、コロナ問題が終息に向かったとしても、事業形態が変わっていて再雇用されるかどうかも分からない。どん底(ボトム)に落ちた人たちは救済もなく貧困のまま放置されるかもしれない。

一方で、FRBは政策金利を0~0.25%に切り下げて、無限大の金融緩和を行っているので、株価は大きく戻している。

富裕層はいち早く資産を取り戻したということだ。FRBはこれからも金融市場の買い支えをするはずなので、富裕層は安泰だ。

こうした中で、アメリカは上か下かに分かれてしまう社会になっているのだ。しかもコロナ禍の中で急速にそうなっている。富裕層が猛烈なスピードで資産を増やし、貧困層はそのまま置いてけぼりにされる構図が変わらない限り、その「差」は極度に開いていくだろう。

コロナ以前から起きていた格差はコロナ禍で急加速されたように見える。アメリカの一流企業の経営者の平均所得と、ごく普通の労働者の平均所得の格差はすでに343倍の開きになっている。1年間で343倍の差がつく。

アメリカの経営者は現金でその343倍の収入を得ているのではなく、その多くはストックオプションでの収入になっているのだが、これは要するに株式で提供される収入である。株式が上がれば上がるほど彼らの資産も上がる。

株式を持っている人間と持っていない人間の格差は凄まじいものになる。その凄まじさが「343倍」という数字になって現れている。株式を保有する層が富裕層になり、そうでない者は現金をいくら持っていても貧困層に没落していく。

富裕層はとっくに「プレゼント」を受け取っている

日本も例外ではない。2020年3月に大暴落した株価は、4月に入ってから急激に戻してきた。日本もまた多くの非正規雇用者がリストラや雇い止めや無給の一時休業に遭って困窮している。中小企業・小規模事業者もバタバタと潰れている。

にも関わらず、日経平均は4月から何事もなかったように戻しつつある。実体経済がボロボロの中で、いったい誰が株を買いまくっているのか。日銀である。2020年3月19日。日銀はこのように発表している。

「上場投資信託(ETF)を1日あたりでは過去最大となる2,000億円強買い入れた」

日銀の保有ETFの総額はいまや31兆円レベルにまで到達しているのである。何としてでも株価を支えるという決意がそこに垣間見えるが、これは何を意味しているのか、私たちは腰を据えてじっくりと考えなければならない。

日銀が株式を買いまくり、株価が戻りつつあり、その結果として株価を保有している富裕層が「もう助かった」ということなのである。

国民は給付金の10万円が届くか届かないかでやきもきしているが、富裕層はとっくに株価上昇という「プレゼント」を受け取っている。

富裕層がこんなことを言ったら暴動が起きるかもしれないので誰も何も言わないが、これは事実である。

Next: 嘘だと思うなら株価を見てみればいい。2020年3月19日の日経平均の終値は――



日銀は真っ先に富裕層を救済した

嘘だと思うなら株価を見てみればいい。2020年3月19日の日経平均の終値は1万6,552.83円だった。6月2日の終値は2万2,325.61円である。5,772.78円、率にして35%近くも上昇したということになる。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

この35%の上昇というのは、1億円の資産の人には3,500万円、10億円の資産の人には3億5,000万円のプレゼントだったということになる。

特別定額給付金の10万円と比べるとどうだろうか。日銀が富裕層に与えたプレゼントは大したものだったと思わないだろうか。

別に日銀は富裕層を救済しようと思ったわけではない。日本経済を救済しようと思っただけだ。

しかし、結果的にそれは富裕層を真っ先に救済することになった。これによって、金融資産を持つ層と持たない層の格差が、またもや私たちの目の前で大きく広がった。

果てしなく広がる格差

資産を持っている者がさらに資産を膨らませ、持っていない層との格差を爆発的に広げる。そういう社会がコロナ禍でより鮮明になっているのが見て取れる。

コロナウイルスに関しては、治療薬も特効薬もまだまだ先の話なので、実体経済の立ち直りは遅いだろう。そうなると、ほぼすべての企業は「コスト」である人件費を削るためにリストラ・雇い止め・無給の一時休業を拡大していく。

全世界で低所得層の比率が爆発的に上昇することになる。先進国もそうなのだが、途上国はコロナを押さえ込む力もないので、もっとひどいことになるはずだ。

コロナ前から世界はすでに「1%の富裕層と99%の貧困層の国」と言われるようになっていた。たとえばアメリカは、上位1%が持つ資産は、下位90%が持つ資産の総量よりも多い。

これがもっと進んで、0.1%の富裕層が持つ資産は、下位90%が持つ資産の総量よりも多くなったとしても不思議ではない。

各国政府はどこの国も経済を崩壊させないために、莫大な金融緩和や財政出動を行っており、たった2ヶ月でもう財政的な余裕を喪失してしまっているので、半年後から1年後にやってくる未曾有の不況では、もう貧困層を救う余力はなくなっているかもしれない。

Next: ニューヨーク・タイムズ紙は、世界中で20億人がコロナのダメージで貧困に――



貧困は遺伝する。堕ちてしまうと、のし上がれない

ニューヨーク・タイムズ紙は、世界中で20億人が中国発コロナウイルスのダメージによって貧困に落ちる可能性があると述べている。

全人口の約27%が絶対貧困になるのだから尋常ではない。

「世界は良くなっている」とか馬鹿げたファクトチェックがあるが、現実は逆かもしれない。今までの成長をすべて打ち消すような貧困と格差がこれから私たちの目の前に登場する確率が高まっている。

コロナによるダメージは全世界を覆い尽くしている。全世界がコロナウイルスに飲まれていくというのであれば、全世界が絶望的な格差に飲まれていくということなのだ。日本も例外ではない。

今やすっかり信用を失ってしまったWHO(世界保健機関)は、コロナは「消滅しない可能性もある。あるいは終息に長い道のりがかかるかもしれない」と言い出し始めている。これに同意する医師も多い。インフルエンザのように毎年、変異を繰り返しながらずっと私たちを苦しめるものになるかもしれない。

とすれば、貧困層の増大と政府の疲弊が深まっていくのは必至であり、低所得層の増加は新たな社会問題と化す。

今、日本では「6人に1人が貧困」という社会だが、そのうち4人に1人が貧困、3人に1人が貧困という時代になったとしても不思議ではない。

日本は労働人口の約4割がもう非正規雇用者なのである。彼らに仕事が消えれば3人に1人が貧困となっても驚くべきことではない。当然、子供の貧困も増える。

現在、日本では格差が深刻化しているのに生活保護を中心とした救済によってホームレスが減っているのだが、行政や社会が対応能力を失ったら、ある瞬間から突如としてホームレスも爆発的増加するはずだ。

これは今、私たちの目の前でリアルに進行している容赦ない現実である。

止まることなく、激しい勢いで貧困者増大と超格差が進んでいる。政治が混乱するとスピードはより加速するだろう。

富裕層が地獄に落ちるのは、最後の最後

もっとも、世界中の中央銀行がどこまで今の金融市場を支えられるのかは誰にも分からない。本当にどうしようもなければ、最後の最後に金融市場も大暴落して富裕層も地獄に落ちる。

ただ、富裕層が地獄に落ちるのは、ずっと後の話である。最初に落ちるのは、常に弱い低所得層であると決まっている。

最初にどん底(ボトム)に転がり落ちて、最後まで見捨てられるのが低所得層だ。そんな地獄の光景が、もう始まっている。

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2020年5月配信分
  • コロナ禍が、また違う「禍(わざわい)」を招き寄せるという現象に注目せよ(5/31)
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2020年4月配信分
  • 別に世の中を読まないが、それでいて時代が必要とする重要企業も逃さない方法(4/26)
  • 「自分の人生の中で最も最悪な年になる」と自覚してコロナショックを生き残れ(4/19)
  • 歴史的な暴落波乱相場で容易に生き残る方法(2)危機が去れば焼け太りする(4/12)
  • 今の相場環境は嫌いではない。低迷が長引くほど保有株を大量に増やせるから(4/5)

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2020年3月配信分
  • 歴史的な暴落波乱相場で容易に生き残る方法(1)頭を使わないで平均点を取れ(3/29)
  • コロナショックはいずれは落ち着いて、どんな形にしろ日常は必ず戻ってくる(3/22)
  • 私のやっている投資がコロナショックでの相場大激変でも何の問題もない理由(3/15)
  • ついにやってきた株式市場の暴落と乱高下。この社会情勢で私はどう動くか?(3/8)
  • 新型コロナウイルスで市場が変わった(2)12%の暴落をどのように考えるか?(3/1)

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2020年2月配信分
  • 新型コロナウイルスで市場が変わった(1)日本はもしかしたら見捨てられる?(2/23)
  • 「中国を潰してやる」というのは、アメリカの一貫した方策であることを認識せよ(2/16)
  • 新型コロナウイルスが浮き彫りにしたのは、中国に投資すべきではないということ(2/9)
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2020年1月配信分
  • 中国の新型肺炎で、1月17日に「オーメン」を嗅ぎ取って動いていた人たち(1)(1/26)
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2019年12月配信分
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  • 資本主義では資本が生み出す不労所得を手に入れることが最も大きな「旨み」だ(9/22)
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年6月5日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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