安倍政権「新自由主義」の末路?グローバル化にもてあそばれたロシア

 

なぜ私は、「反グローバリズム」になったのか?

ソ連が崩壊し、「新生ロシア」の時代がやってきました。エリツィンは、「資本主義」「民主主義」がさっぱりわからない。それで、アメリカのいうことを聞いて、改革が進められました。

そう、「グローバリズム」「新自由主義」「市場原理主義」的改革です。

政治には多党制の民主主義が導入された。大々的な民営化が実施された。価格統制がなくなり、自由な経済活動ができるようになった。輸出入が自由化され、外国製品が入ってきた。

どれも一見よいことのように思えます。

しかし、結果は悲惨でした。貿易の自由化で、競争力のないロシア企業は、ほぼ全滅しました。今にいたるまで、ロシア国内で「ロシア製品」を見つけるのは至難のわざです(外国企業がロシアで現地生産したものは、結構ある)。

ルーブルは自由落下し、ソ連崩壊翌年のインフレ率は2,600%に達しました。

そして、何よりも、自由に競争させたら、とんでもない「格差社会」になってしまった。ソ連時代、人々は、「貧しいながらも平等」でした。しかし、ソ連崩壊後6年間でGDPは43%も減ってしまった。平均月収は、1万円ほどになっていた。

そんな中でも競争を勝ち抜き、富を増大させていった人たちがいます。ほとんどは、ユダヤ系ロシア人でした(これは「陰謀論」ではありません。ロシアの研究書にはどこにでも出てくる事実です)。

1998年、ユダヤ系新興財閥6人、すなわち、

・ベレゾフスキー(石油大手シブネフチ、テレビ局ORT)
・グシンスキー(メディア王、民放最大手NTVなど)
・ホドルコフスキー(石油大手ユコス)
・フリードマン(アルファグループ)
・アヴェン(アルファグループ)
・アブラモービッチ(石油大手シブネフチ)

これに、ロシア人

・ポターニン(インターロス)

を加えた7人は、「ロシアの富の半分を支配した」といわれました。

98年といえば、ロシアがデフォルトした年です。公務員もサラリーマンも、1万円の給料を何か月ももらえず、全国でデモが頻発していた。

そんな中でも、石油、金融、メディアを抑え、ますます富を増大させていく人たちがいる。

私は、ユダヤ系の新興財閥を批判したいわけではありません。

しかし、事実として、「自由に競争させたら、こうなるのだな~~~」と思ったのです。

グローバリズムは、「金儲けオリンピック」

「グローバリズム」「新自由主義」「市場原理主義」。これらは、細かく理論的に定義したら、「全然違うもの」といえる
でしょう。

しかし、「事実」を見れば、よく似ています。

これらは、オリンピックの世界に似ている。「金儲けオリンピック」です。勝つ人の数は圧倒的に少なく、ほとんどが敗者なのです。

もう1つ、社会には「金儲けオリンピックに参加できない人たち」もたくさんいます。たとえば、「学校の先生」はどうでしょうか?「金儲けのことばかり考えている先生」なんてみたくありませんね。

たとえば、「公務員」の皆さんはどうでしょうか? 警察官は? 自衛隊の皆さんは?

「金儲け競争に参加できない人」も日本に大いに貢献しているので「人間らしい豊かな生活」ができるようにしなければならない。

こういう問題もあります。

いずれにしても、私はロシアで起こったことを見て、「反グローバリズム」です。

次号では、小学生でも理解できるように、「グローバリズムの問題点」について解説しましょう。

image by: Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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