元旅行誌編集長を唸らせた、伊豆の「ファーストクラス民宿」

 

ビール1本飲んでもまだ夕食まで時間があったので、少し休憩をしてから、貸切の露天風呂へ行ってみた。 これが大変雰囲気のあるいい風呂なのである。

無料で利用できる貸切露天風呂。むろん源泉100%かけ流しである

無料で利用できる貸切露天風呂。むろん源泉100%かけ流しである

内側から鍵がかかる仕組みになっていて、入り口にサンダルがなければ、そのまま予約無しで利用できる。僕は一番風呂だったようで、湯がなみなみと浴槽に満ちていて、入浴するとザバーっと大量にあふれた。いやぁ、最高。

ロケーション的に周囲はオープンタイプではないものの、天井部分は抜けており、浴槽脇のいすに腰掛けると秋の風が吹き抜けて心地よい。

3回も出たり入ったりと湯を楽しんで、部屋に戻ろうとすると、受付で「夕食が少し早めでもいいですか?」と聞かれる。「ぜんぜん、むしろうれしいですよ。昼飯抜いてますので」と答え、さらにビールを1本もらって部屋に戻る。 ああ、なんたるぜいたく。

そのビールを半分くらい飲んだところで、夕食が少しずつ登場した。すぐに食べたい気持ちを我慢して、数品そろってから撮った写真がこれ。

1人泊なのにいきなり刺し身の大皿盛りが登場。これぞ民宿の醍醐味だ

1人泊なのにいきなり刺し身の大皿盛りが登場。これぞ民宿の醍醐味だ

昼飯抜きで渓流を歩きまくった刺し身大好き人間にとって、最高のごほうび。ちなみに夕食は部屋食、翌朝食は広間で、とのことだった。

まず刺し身はイサギ(イサキのこと。伊豆では濁ります)の姿造り、バチマグロ、カンパチ(たぶん天然)、ボタンエビ(これは解凍かな)、そしてなんと生ワサビがおろし金とともに付いている。

左に見えているのは地物のもずく酢、もりそば(別につゆが付いていた)、茹でガニ(これはさすがに冷凍か)、サザエのつぼ焼き、金目鯛の唐揚げ銀あんかけ。香の物はニンジン、セロリ、生姜たまり漬け、沢庵。

しばらくすると揚げたての天ぷらが登場。 ししとう、ニンジン、茄子、カボチャ、真鯛。これを天つゆで味わう。締めには白飯と、とろろ昆布の吸い物が一緒にもってこられて、テーブルに用意されていった。

さらに「お飲物どうします?」と聞かれて日本酒を追加注文すると、日高見の純米、くどき上手吟醸、そして静岡の地酒(吟醸)があるという。悩んだ末に秋田の銘酒、日高見の純米酒を2合注文。すると、氷が入るタイプのガラスのお銚子で登場し、一緒に出て来たのが先の写真の一番奥に見えていた1品。これが自家製のカラスミなのである。「いまは、お酒をご注文された方にサービスで出してます」という。なんとタダなのだ。しかも塩分控えめで実にうまい。これは酒が進む。

伊豆で茹でガニはいかんな、と思っていたのだが、案外に甘味があり、身もしっかりしていてうまかった。むろん刺し身は申し分なく、しかも、おろしたてのわさびの香りが抜群にいい。結局、日高見をさらに2合追加。

ビール2本と日本酒4合飲んで、食器を片付けてお盆に載せて部屋の外に出す。これが民宿流である。そうして、ふらつきながら布団を敷く。シーツがぱりっとしていて、清潔感があって気持ちいい。うおー、気持ちいいいい! と横になったら、あっという間に眠りに落ちた。

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