働いてない人は目が死んでる。寿命100歳時代を生き抜く方法とは?

 

まずは朝の掃除から

高田圭子さん(65歳)は、父親の介護のために、57歳で早期退職した。60歳の時に父が亡くなり、第二の人生を謳歌しようと、1年間、デッサンやアートワークショップに通った。しかし、年金だけでは生活は厳しいので、できれば好きな絵を活かして働きたいと思った。

地元のハローワークに通ったものの、60過ぎで絵を活かせるような求人は見つからなかった。そんな時に知人が高齢社を紹介してくれ、リフォームの会社で1年契約のパートして働けることになった。高齢なのに、簡単に勤め先が決まって、正直、驚いた。

その会社は若いスタッフが多く、活気があった。高田さんは何からやったらよいのか判らないので、まず自分でできることとして朝の掃除から始めた。「それをやっちゃうと、あなたがずっと掃除係になるよ」と親切心から忠告してくれる人がいた。しかし、みんなが気持ちよく仕事できるなら、それでもいいと思い、やはりずっと掃除担当になったが、後悔はなかった

それに加えて、苦情を言ってくるお客さんや、難しいお客さんの対応は自ら進んで引き受けた。若い社員がストレスを受けるより、人生経験のある自分の方が対応も容易だと考えたからだ。

さらに手書きでリフォーム後のパース(完成予定図)を描いてやると、見積もりの際に役立つと、皆が高田さんに依頼するようになった。翌年にはパソコンでパースを描ける人が転入してきたので、2年で契約終了となったが、最終日には真っ赤なバラの花束を職場のみんなからプレゼントされ、温かく見送ってくれた。充実した2年間だった。

そんな今の自分が、一番好きです

次の仕事も、高齢社がすぐに紹介してくれた。段ボール構造を利用したフスマのメーカーで、企画提案のできる女性が欲しいとの要望だった。

高田さんは手書きの紙芝居のような絵を描いて、お客さんに商品を紹介することを提案した。社長もそのアイデアに乗ってくれて、一緒に考えたり、アドバイスをくれた。営業担当の人々からも「お客様に分かりやすい」と好評を得た。社長は妥協のない人で、まだまだ満足はして貰っていないが、高田さんは社長が満足するまで続けようと思っている。

ある時、高田さんの席の後ろに、家電店の大きな箱が置いてあった。社長がニコニコしている。開けてみると、中から出てきたのは、パソコンとペインターソフト

手書きの味わいも良いが、修正のたびに高田さんが苦労しているのを知っていて、パソコンならそんな手間が省けるのではないか、と社長は考えたようだ。「どうかなって思って買ってみた。使えなくても全然大丈夫。これで遊んでいいんだからね

最初は正直な所「参ったなあ」と思ったが、こういう機会を与えて貰って「なんて幸せなんだろう」と思い直した。「社長に応えたい!」と奮起して、自宅で練習するために同じパソコンとソフトを買った。

「そんな今の自分が、一番好きです」と高田さんは語っている。

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