総務省の「ケータイ料金値下げせよ」が受け入れられない理由

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安倍総理の「鶴の一声」で見直しが開始された携帯電話の料金。テレビ番組で担当大臣の高市総務相に直撃したケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、その模様をメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』に記しています。

高市総務相に「ケータイ料金値下げ」の疑問を直撃

11月6日、BSフジ「プライムニュース」に出演する機会を得た。テーマは「高市早苗総務相に問う ケータイ値下げへの道」。文字通り、高市早苗総務相が出演するので、現在、行われている総務省・タスクフォースについて、2時間、たっぷりと聞くという役割を与えられた。

議論の内容は2年縛りからキャッシュバック、実質価格0円販売、MVNOの普及など、多岐に渡ったが、高市総務相が特に疑問視していたのが、端末価格の大幅な値引きについてだったように思う。長年、同じ端末を使い続けている人が損をして、頻繁に機種変更やMNPを行っている人が、端末の大幅な値引きを受けているのは不公平だということを繰り返して語っていた。

高市総務相はシルバーウィーク中にケータイ業界のことを熱心に勉強されたようだが、端末と通信料金の分離については、「誰かさんから相当、入れ知恵されたかな」と疑いたくなるほどだった。

確かに長年、同じ端末を使っている人は、端末の値引きを受けていないという不公平感を抱くのは仕方ない。しかし、端末に興味のない人は、端末をあまり使っていない人なわけで、キャリアから見れば、通信料収入も決して高くはないのかも知れない。

一方、頻繁に機種変更する人というのは、新しい端末が好きで、スマホを積極的に使う人と言えるかも知れない。つまり、端末価格は値引きされているかも知れないが、端末を長く使い続けている人に比べて、毎月の通信料金は高く支払っている可能性だって充分にあるのではないか。

また、ソフトバンクの参入以来、端末代金を割賦にし、毎月、端末代金から割引をするという売り方が一般的になっている。このように端末と通信料金を分離したことで、一般ユーザーにとっては「わかりにくい」と感じているのは事実だろう。

一方で、昨年春にイオンスマホが、端末代金Nexus4)と通信料金セットにして月額2,980円で売り出したことで、格安スマホは一気に普及した。これは端末と通信料金をセットにして、わかりやすい料金にしたことが背景にある。最近では、ワイモバイルが、端末代、通話定額、データ定額をコミコミにして月額2,980円というプランを訴求している。

つまり、端末代金と通信料金をセットにしても、充分に一般ユーザーに伝わる料金プランを作ることは可能であり、両者を分離することが必ずしも正義ではないはずなのだ。

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