総務省の「ケータイ料金値下げせよ」が受け入れられない理由

 

また、高市総務相は「1GB以下のライトユーザー向けプラン」の必要性も説いていた。その説明をする際、現状、多くのユーザーは7GBプランを契約しているものの、実態は1GB以下のユーザーが多いというグラフも提示していた。

ただ、7GBプランが多いというのは、スマホ初期から昨年中頃までのプランが7GBまでの使い放題プランが中心だったからに他ならない。そのころは、スマホを買っても、どれくらいデータ通信を使うか想像ができないので、キャリアとしては誰もが到達しそうにない7GBというプランを設定していたのだった。

仮に政府の意向で1GBプランができたところで、今後、LTEがさらに高速化され、IoT時代になれば、1GBなんて誰もがあっという間に使い切ってしまう容量になってしまう。1GBのライトユーザーなんて数年で絶滅するのは目に見えているはずだ。

スマホが普及し、自分がどれだけ使うかを理解できるようになった2014年、NTTドコモが新しい料金プランを作ったことで、他社も追随。ようやく、ユーザーの利用実態に合わせて料金プラン選べるタイミングになったと言えるのだ。

プライムニュースでも高市総務相に指摘したが、これまで総務省がSIMロック解除や2年縛りの見直しなどの議論を進めてきて、ようやくMVNOが盛り上がりを見せているのに、何故このタイミングで政府がいきなり値下げを求めるのか、理解に苦しんでしまう。

ただ、高市総務相は自分が書いた日経のコラムも読んでくれていたようで、グーグルのMVNOサービスである「Project Fi」にはかなり関心を持っていたようだ。高市総務相もこの業界については勉強をはじめたばかりのようなだけに、今後、様々な議論を勧めていく中で、結論も違った方向に進んでいく可能性もありそうだ。

image by: Shutterstock

 

『石川温の「スマホ業界新聞」』 Vol.153より一部抜粋

著者/石川 温(ケータイ/スマートフォンジャーナリスト)
日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。
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