焦る中国の「一人っ子政策」廃止が、世界に危機をもたらす

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中国は2016春、30年以上も続けてきた「一人っ子政策」を撤廃すると発表しました。「人口構成の歪み」を緩和するために政策転換を余儀なくされたようですが、『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、これが中国の諸問題を解決するどころか、ますます悪化の一途をたどり、ともすれば世界が「共倒れ」しかねない、と警告しています。

【中国】一人っ子政策の撤廃で世界は危機に陥る

中国、「一人っ子政策」撤廃で労働力人口3千万人増予測

中国で一人っ子政策撤廃されました。30年以上にわたって続けられてきた一人っ子政策ですが、これにより人口の偏りが生じ、中国社会の歪みを産んできました。

中国は食糧危機を避けるために1979年に一人っ子政策を導入し、「4億人分の人口増を抑制できた」(担当官庁の国家衛生計画生育委員会)と自画自賛しています。

しかし、その結果として人口構成がゆがみ、国連の推計では65歳以上の比率が35年に19.5%と、現在の日本並みに高齢化する見通しとなっていました。12年には、「世界の工場」を支えてきた労働年齢人口(15~59歳)が初めて減少に転じたため、11年までに全土で夫婦双方が一人っ子なら第2子を認めるまで制限を緩和してきました。そして、来春の一人っ子政策撤廃となるのです。

● 一人っ子政策、来春から緩和 中国が決定

未だに男尊女卑の思想がある中国では、長女よりも長男を望み、かつては第一子に女の子が生まれてきた場合、売ったり捨てたり殺したりするケースも見られました。そのため、今では男女の人口比率が歪み、男性が女性の三倍も多いとも言われています。

また、そのようにして捨てられた女児や、二人以上の子供が生まれても罰金を恐れて行政に届け出ないケースも多いため、中国には戸籍のない子供、いわゆる「黒孩子(ヘイハイツ)」が数億人いるとも言われています。

そもそも、一人っ子政策そのものが抜け穴だらけで、農村在住者、少数民族、親のどちらかが一人っ子の場合は、二人目を生むことが許されてきました。省によっては、一人目が障害者あるいは女児の場合も二人目を持つことを許されました。

とはいえ、中国版赤ちゃんポスト」に捨てられる子供のほとんどが障害を抱えた子供だと報じられています。

● 中国版「赤ちゃんポスト」には障害児や病弱児ばかり 高額医療や養育費負担が原因?

二人目禁止の対象となる夫婦が二人目を持った場合、罰金が課されてきたのですが、それも、富裕層にとっては全くペナルティの意味をなしてきませんでした。

 

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