実はこのPEA、誰かを好きになると湧き上がってくる、激しい感情的動揺を起こす興奮性伝達物質であり、脳の中で、興奮や歓喜、恍惚などの感覚の原因となる、自然の「覚醒剤」のようなものらしいのです。
一種の麻薬のようなものですね。
そして、このPEAが働くと、気分が高揚し、いい気持ちになったり、やさしい気持ちになったり、楽しい気持ちになったり、何でもできそうに思えてきたり、その人以外のことを考えられなくなり、毎日会いたいと願ったり…
この人がいないと生きていけない、なんて思ったり、つまり、盲目状態になるのですね、人間は。
すると…そう、やっぱり危険なのです。
いつまでも、このような状態にいるのは、人間にとっては、とても危険なのです。
麻薬や覚醒剤が危険なのと同じように。
つまり、残念ながら、いつまでも「恋愛脳」や「恋は盲目」で、高揚して、るんるんらんらん状態ではいられない、ということもでもあります。
いつまでも、その状態でいると、現実社会の中で、生きていくことに支障が出るからなんです。
ほら、仕事が手につかなくなったり、その人のことでいっぱいで、その他の大切なことをおざなりにしたり、忘れたり、冷静ではおれずに、変な行動をとったり、生きておれないほど、思い詰めたり…してね。
ですから、PEAは、その働きに期限を設けたようなんです。
その期限を過ぎたら、冷静になる、現実に戻る、目が覚める、という期限…を。
その期限、800人以上のアメリカ人にアンケートしインタビューしたテノブという研究者の結果によると、
「ロマンティックな恋愛の期間、つまり恋におちた瞬間から、愛の対象に対して、「中立的な感情を抱く」までを測定したその結果はいちばん多くて平均的な長さは、約18ヶ月~3年」
だったというのです。
また、性科学者のジョン・マネーという人も、研究結果から、恋人と定期的に会うようになると、「その情熱は2~3年続くのが普通」だといっており、その後情熱は減っていくとみています。
これがPEAのしわざによるらしいんですね。
脳は、ロマンティックな陶酔状態を際限なく維持できない、刺激物質が慣れてしまったりもして。
だいたい3年…
そう、3年もたつと、恋は盲目状態から解き放たれ、4年目くらいになると、恋愛感情や情熱が互いに少なくなり、現実的に戻り、冷静になり、いろいろと見えてきて、「離婚」に至るのではないかというのです。
さらに、脳の働きだけではなく、こんな人間の進化からも、「4年」がでてくるのです。