【MBAの企業分析】1日700食売れる200円手作りカレー店の独自戦術

 

■売り方

・目立つ看板、店舗の壁面、のぼり

主に黄色を使うことで注目を集め、200円を大々的にアピールしています。

⇒店舗を広告として活用することで広告費の抑制に貢献しています。

・セルフサービス

注文カウンターから席へは自分で運び、容器はプラスチックでできているため、食後は容器をゴミ箱へ捨てる流れとなっています。

⇒食事を運んだり、食器を片づけたり、洗ったりする人件費の抑制に貢献しています。

・トッピングリーグという企画

カレーライスは原価率研究所で購入して、トッピングは近所の惣菜屋さんなどを活用することを訴求することで、地域の活性化を図っています。

・回数券(使用期限は最大で45日間)

小(6枚つづり)1,000円→1枚お得
中(13枚つづり)2,000円→3枚お得
大(28枚つづり)4,000円→8枚お得

⇒常連客を優遇する施策となっており、来店頻度の向上を図っています。単価が低いために、利益を出すためには客数の確保が重要となります。

 ■売り場

 ・賃料の安い新潟県を中心に店舗を出店

⇒今後は新潟県外への出店も計画中。東京へも出店する予定。

 ・極小の店舗

 客席は10席程度

 ・シンプルな内装

 ⇒出店に関わる費用や家賃などの抑制に貢献しています。

まとめ(戦略ショートストーリー)

 食費を節約したい消費者をターゲットに社長の想いと独自のカレールウに支えられた「圧倒的な安さ、しかも満腹になる」という強みを提供することで差別化を実現しています。

 メニューを絞りこみ、店舗を活用した広告により広告費や出店コストの抑制などの低コスト化への取り組みをしながら圧倒的な安さで消費者の支持を得ています。

 分析のポイント 

「競合他社が真似したいと思わないほどの差別化」

 手作りのカレーライスが200円という価格は破格といえます。もちろん200円で販売しても利益がでるように、上記の戦術解説の部分でも紹介したようなさまざまなコストの抑制に努めています。

 ここで重要なのが、競合他社が真似をしようとも思わないほどの安さであるということです。一般的に成功している企業の戦略を競合他社は取り入れたい真似したいと考える傾向にあります。

 ですから、成功している企業ほど強みが競合他社に真似されないよう(強みが弱まらないよう)にコア・コンピタンスに磨きをかける努力をするわけです。

 原価率研究所の場合は、競合他社から見て、「儲かるとは思えない」、「継続的に利益を出せるとは思えない」など、競合他社が真似をしたいと思わせないことで、競合の模倣を防いでいるといえます。

 つまり、他社の追随を許さない戦略ということです。この戦略だからこそ、多い日で1日700食という驚きの販売数の実現できているわけです。

 今後、果たして原価率研究所のカレーライスを追随する企業が現れるのか注目したいです。

image by: Shutterstock

 

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