家を売りたい人はご用心!不動産屋のチラシに隠された巧みな罠

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「○○マンション限定で」もしくは「○町○丁目限定で」不動産を探している人がいる、といういわゆる「限定チラシ」、よく見かけますよね。ところがこちら、すべてとはいいませんがほぼウソなのだとか。無料メルマガ『「教養」としての不動産取引』で、不動産コンサルが暴露しています。

限定チラシの甘いワナ!?

● ○○マンション限定でお探しの方がいらっしゃいます

 

お客様は現在、関西の某大手メーカーにお勤めです。この度、長年の念願がかない、転勤で生まれ育ったこの街に戻ってくることになりました。近隣にご高齢のご両親がお住まいで、目が行き届くこちらのマンションを是非購入されたいと希望されています。

 

予算は○○万で広さは70平方メートル以上。間取りは3LDKをご希望ですが、リフォームをする予定なので、現状の間取りは気にしません。

 

本気でお探しのお客様ですから、冷やかしでのお問い合わせはご遠慮願います

とか

● 50坪以上の土地を探しています

 

大手法人が社員寮として広めの土地をお探しです。社員寮なので、駐車スペースを作る必要はなく、道幅は狭くても構いません。予算については○億ほど確保されていますが、決算期が近づいているため、良い物件なら大幅な予算アップの可能性もあります

こうした内容のチラシを目にされたことはありませんか? いわゆる「限定チラシ」というやつです。

「売却を検討中でどこの不動産会社に依頼するか考えている」
「良い金額で売れそうなら住み替えも考えてみよう」

と、売却しようかどうか迷っている人にしてみたら、背中を押してくれる魅力的なオファーに見えますよね。こうした内容のチラシが頻繁に自宅ポストに投函されていると、

「うちのマンション、えらい人気あるな」
「随分、たくさんの人がこの地域に住みたいと考えてるんだな~」

と、思ってしまっても仕方ありません。確かに

「売主さん、求む!」
「売り物件を探しています!」

といった内容よりも、

「こんな物件探しているお客さんがいます」

と書かれたチラシの方が、信ぴょう性もあるし、内容に具体性があればあるほどより目を引きますよね。

「チラシに書いてある条件とは少し違いますが…、ウチじゃダメですか?」

なんて逆にアピールする人も出てきます。

しかし、こうした内容のチラシの「全てが」とはいえませんが、ほぼほぼウソですからご注意ください。

とはいえ、私も人のことは言えず…、駆け出しのころはこうした内容のチラシを作成したこともありますし、直筆の手紙を書いたこともあります。

直筆手紙の効果は、パソコンで印刷されたチラシとくらべると、見る人に与える具体性は非常に高くなります。今から考えてみても褒められる行為ではないですが、なりふり構っていられない新人時代は良くやっていました。

実際にそうした「ウソ」のチラシがきっかけで、仕事になったことが何度もあります。もちろん仕事になったとはいえ、チラシに書かれた内容のお客さんがいるわけではないので、どこかでつじつま合わせが必要となります。

「お客さんに内容を伝えさせて頂いたのですが、少し条件と違ったようです」
「思ったより会社の予算が上がってこなくて断念されたようです」

などと、適当な理由をつけて、ダメだった旨を伝えなければならないのです。信じていたお客さんをがっかりさせたことも、ウソを見抜かれて怒鳴られたこともあります。今思い出しても色々と胸が痛みます。

私がやっていたのは10年以上前の話なのですが、未だに同じようなチラシをみかけることもありますから、まだ行われているんでしょう。不動産会社も進歩ないですね。

ご注意ください。

image by: Shutterstock

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