「給料払えないから新暦にしちゃお」明治政府が起こした驚きの改正

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今では当たり前の1年を12ヶ月で区切る新暦。旧暦では13ヶ月ある年もあったって知ってましたか? 今回のメルマガ『1日1粒! 「幸せのタネ」』では、日本が突然旧暦から新暦に切り替わったせいで起こったある悲惨な出来事を紹介しています。

消えた2ヶ月の給料

みなさまこんにちは。マインドマップインストラクターの須田です。

旧暦と新暦。実はちょっとややこしいところがあって、単純に「今日は旧暦で○日」というのはいえないのです。

まず、「旧暦」が何かを確認しておきましょう。

現在私たちが使っている暦はグレゴリオ暦と呼ばれるもので、太陽の運行を基準にして作られています。一般に「太陽暦」と呼ばれます。

それ以前、日本では明治6年以前は太陰太陽暦というものが使われていました。太陰暦は月の運行を基本にした暦です。月は新月から新月までの期間が約29.5日です。12ヶ月では29.5×12=354日となります。365日から考えると年間で11日少なくなってしまいます。そこでそのずれは数年に1度、「閏月」というのを入れて修正します(19年に約7回なので、3年弱に1回です)。

この「閏月」というのが曲者なのです。

太陰太陽暦が使われていた時代のある日付が、今の太陽暦で何年何月何日に当たるか? というのは計算することができます。

しかし、今は太陰太陽暦の計算はしていませんから、今日が太陰太陽暦でどういう日付になるかというのは正確にはわかりません。使わない暦のために、わざわざいつ閏月を入れるのか? ということはきちんと取り決めしませんから、ずれていて当たり前なのです。

そんなわけで、カレンダーには「旧暦12月1日」と書かれてはいても、だいたいの目安…というぐらいにとらえておくのがいいでしょう。

ちなみに、日本がグレゴリオ暦に切り替えたのは、明治5年から6年にかけてです。西暦では1872年から1873年にかけてのことです。これは突如決まったことで、この経緯だけでも非常に面白く興味深い読み物です。興味を持たれた方はぜひお調べください。

とにかくいきなり決まったことは、

明治5年12月3日→明治6年1月1日

とするということでした。なんと明治5年の12月は1日と2日しかありません。そのうえ「2日しかないので、その月の分の給与は払う必要なし」というお達しまで出ました。なんと12月分の給与をもらい損ねてしまった…。

今から考えると、なんとも乱暴なお話に思えますね。実は旧暦のままだと明治6年は閏月の入る年で、13ヶ月ありました。給料を13回払わないといけなくなります。そこで、明治5年から6年の切り替わりで太陽歴にしてしまえば、「明治5年12月」と「明治6年の閏月」の2ヶ月分が消えてしまいます。

そうすれば明治政府は役人に給料を2ヶ月分、払わなくて済む…財政難に苦しんでいた明治政府の苦肉の策とも言われています。

image by: Shutterstock

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