今回の「3分間書評」で取り上げるのは、「リーダーシップ本」の決定版の呼び声高い一冊。年間1000冊を読破するビジネス書評家の土井英司さんが「最近読んだ中でで、もっとも影響を受けた」と記すほどの名著ですから、読まないわけにはいきませんね。
『メンバーの才能を開花させる技法』
リズ・ワイズマン、グレッグ・マキューン・著 海と月社
こんにちは、土井英司です。
まず、はじめに申し上げておきましょう。本日の1冊は「買い」です。
これまで、数多くのリーダーシップ本を読んできましたが、どの本も「理想的なリーダー」像を打ち出すか、テクニック論を紹介するのがお約束。
その点本書は、実在のリーダーたちとその特徴を挙げ、指導を受けた部下たちの証言を受けながら、どんなリーダーがチームのパフォーマンスを上げるのか、徹底的に分析されています。
著者のリズ・ワイズマンは、オラクルで17年間オラクル大学バイスプレジデントおよび人材開発グローバルリーダーを務めた後、エグゼクティブ教育のワイズマングループを創設。
シリコンバレーでグローバルリーダーを養成し続けているカリスマ的リーダーであり、「Thinker50」(最も影響力のある経営思想家トップ50)にも選出、クライアントにはアップル、フェイスブック、ディズニー、グーグル、マイクロソフト、GAPなどが名を連ねるという、本物中の本物です。
共著者のグレッグ・マキューンは、ベストセラー『エッセンシャル思考』でもおなじみ。シリコンバレーのコンサルティング会社THIS Inc.のCEOで、やはり数々のグローバル企業をクライアントに持っており、自身、2012年に世界経済フォーラムで「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出されています。
本書では、実在のリーダーをチームのパフォーマンスを著しく上げる「増幅型リーダー」と、むしろパフォーマンスを落とす「消耗型リーダー」に分け、それぞれ特徴と言動の違い、周囲の受け取り方を解説しており、個人的に反省させられることが多々ありました。
手持ちの本は、赤ペンチェックだらけとなりましたが、さっそく、いくつかポイントを見て行きましょう。
◆増幅型リーダーの5つの習慣
- 人々を惹きつけ、最大限に活用する
- 自由でありながら、緊張感のある環境を作る
- 大いに挑戦させる
- 議論を通じて決断する
- オーナーシップと責任を植えつける
「ラリーはみんなの前で、僕のスピードを褒めたんだ」。それを聞いたとき、誰よりも驚いたのはジョン自身だった。「自分でもまあまあ速いとは思ってたけど、それほど速いとは思っていなかった。でも、ラリーが教えてくれたおかげで、自分のイメージができた。『僕は速いんだ』ってね」
消耗型リーダーは、メンバーに仕事の権限を委譲しない。独裁者のようにふるまい、服従を求める。メンバーを萎縮させ、後退させ、手足を縛る。彼の前では、誰も目立とうとしない。
一貫したリーダーの行動には、ふたつの効果がある。第一に、行動が予測しやすくなる。おかげでメンバーは、自分の順番がいつなのか、どこで貢献できるのかがわかる。第二に、安心感を生む。リーダーがなにをするかがわかると、精神が安定し、居心地がよくなる。
「結果」よりも「最高の仕事」を求める
最高の仕事を求めることと、結果にこだわることとは違う。人は、コントロールのおよばない結果を期待されるとストレスになるが、自分のベストを求められれば、前向きなプレッシャーになる。
増幅型リーダーは、他者の成功に投資する。
どうすれば才能を集め、活かすことができるのか、どうすればチームメンバーに自信をみなぎらせ、パフォーマンスを上げることができるのか。
最近読んだ中で、もっとも影響を受けた一冊となりました。
ぜひ読んでみてください。
『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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