悪魔の見えざる手。アベノミクスに残された最良の「悪い選択」

 

アダム・ポーゼン氏の見解

「2016年世界経済の今後を読み解く」という題で講演会があった。その中で世界経済は過度な悲観論が横行している。中国の経済減速では債務が積み上がっているが、国内貯蓄があるので、金融危機にはならない。サービス産業が7%程度成長していて、製造業の縮小をカバーしている。中国経済は思っている以上にしっかりしている

米国経済は、債務が積み上がっていないので、少しずつ成長していく。現時点での巡航速度として最適である。

日銀は、マイナス金利ではなく、量的緩和を行うべきある。国際化されていない貯蓄の多い投資の少ない国では、マイナス金利は国民に不安感を与えるので良くない。消費税増税は行うべきであるが、やり方として、毎年0.5%刻みでおこなうのが良い。または名目賃金を上げて、悪いインフレを起こすしかない

日本の状態は悪いので、悪い選択を選ぶ必要があり、より悪くない方を選ぶべきなのである。選択肢を選んでも、良くなるわけではなく、悪くならないか悪さが少ないかである。それほど、日本は悪いということである。

日銀は、国債を買って長期金利を上げないで、インフレを起こして金融抑圧を行いたいのである。円の価値を下げないと、国債の償還ができないレベルであり、正常なことである。

人口減少には、2つしかない。女性に働いてもらうか移民を認めるかである。

ということであり、日本をより悪くしない方法をどうするかを考えることであるというのが、アダム・ポーゼン氏の意見であるが、その感覚は、私も同じである。

もう1つ、私は、イノベーションを起こして、日本が復活することも考えるべきであると思うが、数年前、その意見にはポーゼン氏は反対したので、それが今回は言わなかった。

経済評論家たちの主張

経済評論家は、日本の現時点をより良くしようとしているので、短期視点でしか、モノを考えていない。このため、イエイエドンドンという意見になり、増税は止めて財政出動を10兆円などと威勢の良いことを言っている。

しかし、その積み重ねが日本をより困難な経済状態にしてきたように思う。税収より大きな財政出動を20年以上も続けてきたが、日本が良くなったような気がしないし、短期的な視点でしか見ていない。

自民党の政治家も同様であり、日本の百年の大計を組み立てていないで、短期な視点しかないように思う。長期視野を持った政治家はいないのであろうか?

ボーゼン氏が言うように、現時点は悪い選択しかなく、それを選ぶしかないということを国民に説得することが必要であると思う。野田前首相の消費税増税で、選挙を行う選択は非常に良いことであったし、個人や党の利益より国の利益を見て、選択する感覚を必要なのであろう。

さあ、どうなりますか?

image by: 首相官邸

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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