政権圧力はあったのか? 古舘伊知郎ら降板キャスター「最後の発言」

 

ただ、このごろは、報道番組で開けっぴろげで、昔よりもいろんな発言ができなくなりつつあるような空気は、私も感じています。とてもいい言葉を聞きました。この番組のコメンテーターの政治学者の中島先生が、こういうことを教えてくれました。空気を読むという人間には特性がある。昔の偉い人も言っていた。読むから、一方向にどうしても空気を読んで流れていってしまう。だからこそ、反面で、水を差すという言動や行為が必要だ。私はそのとおりだと感銘いたしました。つるんつるんの無難な言葉で固めた番組など、ちっとも面白くありません。人間がやってるんです。人間は少なからず偏っています。だから情熱を持って番組を作れば、多少は、番組は偏るんです。しかし、全体的に程よいバランスに仕上げ直せば、そこに腐心をしていけばいいのではないかという、私は、信念を持っております。そういう意味では12年間やらせていくなかで、私の中でも育ってきた「報道ステーション」魂というものを、後任の方々にぜひ受け継いでいただいて、言うべきことは言う。多少厳しい発言でも言っておけば、間違いは謝る。その代わり、その激しい発言というものが、実は後年たって、あれがきっかけになって議論になって良い方向に向いたじゃないか。そういう事柄もあるはずだと信じています。

考えてみればテレビの地上波、地上波なんていちいちいわなくてもテレビの一人勝ちの時代がありました。そのすばらしい時流によき時代にのってですね、キラ星のごとく、あの久米さんが素晴らしい「ニュースステーション」というニュースショーを、まさに時流の一番槍を掲げて突っ走りました。私はそのあとを受け継ぎました。テレビの地上波もだんだん厳しくなってまいりました。競争相手が多くなりました。でも、そういう中でも、しんがりを務めさせていただいたかなというささやかな自負は持っております。さあ、このあとは通信と放送の融合、二人羽織。どうなっていくんでしょうか。

厳しい中で富川悠太アナウンサーが4月11日から引き継ぎます。大変だと思います。しかし、彼には「乱世の雄」になって頂きたいと思います。彼はこれまで12年間、例えば凄惨な殺人の現場に行き、おろおろしながらも冷静にリポートを入れてくれた。その足で今度は自然災害の現場に行き、住んでいる方々に寄り添いながら一生懸命、優しいリポートを入れてくれました。私がこの12年の中で彼をすごいなと思うのは、1回たりとも仕事上の愚痴を聞いたことがありません。驚きます。酒を飲んでいてもです。そういう人です。精神年齢は私よりもずっと高いと思っています。どうか、ですから皆さん、3か月や半年辺りで良いだ悪いだ判断するのではなく、長い目で彼を中心とした新しい「報道ステーション」を見守っていただきたいと思います。わがまま言って辞める私に、強い力はないかもしれませんが、ぜひお願いをしたいと思います。そして、富川君とは仲がいいと思っていますので、本当に辛くなったら私に電話してきてください。相談に乗ります。ニュースキャスターというのは本当に孤独ですからね。私は今、こんな思いでいます。人の情けにつかまりながら折れた情けの枝で死ぬ。「浪花節だよ人生は」の一節です。死んで、また再生します。みなさま、本当に、ありがとうございました!

(2016年3月31日 7分半)

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