不登校でも「いじめ」を認めない学校。聞こえてくる親たちの悲鳴…

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3月に文科省が発表した「いじめによる長期の不登校に関する指針」。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、被害者の立場に立つという姿勢を鮮明にした点を評価できるとしながらも、第三者委員会の人選等についてはまだ改善の余地があると指摘しています。

いじめによる不登校

先月、文部科学省から、いじめによる長期の不登校に関する指針が発表されました。いじめによる不登校の中でも、特に「重大事態」となった場合の調査等について、そのあり方を学校等に示したものです。

2013年9月に施行された「いじめ防止対策推進法いじめ防止法)」は、「重大事態」を、

  1. 心身や財産に深刻な被害が生じた疑いがある場合
  2. 相当期間欠席を余儀なくされている疑いがある場合

としています。その上で、学校や教育委員会に調査組織の設置を義務付けています。

この2.の「相当期間」は、文科省の「不登校」の定義を踏まえ、年間30日を目安にしています。ただし、児童生徒が一定期間、連続して欠席している場合は、この目安にかかわらず迅速に調査に着手することを、文科省の「いじめ防止基本方針」は規定しています。しかし、自治体によって対応にばらつきがあることが課題とされています。

今回の「指針」には、以下のようなことが示されています。

  • 学校は、重大事態に至る前(判断の目安となる30日になる前)から、教育委員会などに報告・相談すること。
  • 同じく重大事態と判断する前から、関係する児童生徒から聴き取りを行うこと。
  • 重大事態が発生した場合は7日以内の報告が望ましい。
  • いじめられた児童生徒を徹底して守り通すということを教職員が言葉と態度で示すこと。
  • いじめた児童生徒に対しては、その行動の背景に目を向けるなど教育的配慮の下で指導を行うこと。
  • いじめを行った児童生徒への指導・支援方策も記載すること。
  • 詳細な事実認定が必要な場合は、弁護士や警察OBなど外部の専門家への依頼も検討すること。
  • 調査結果はいじめられた児童生徒や保護者に説明すること。
  • 調査結果を調査報告書にする。
  • 調査報告書などの保存期間は5年とすることが望ましい。

この指針では、学校のとるべき対処として、重大事態に至る前から、報告、相談、聴き取り調査など行い、迅速な報告を求めています。また、いじめられた子供を守る姿勢を明文化し、調査に専門家を入れることを促し、調査結果の説明、調査報告書の作成、保存など、いじめ被害者側に立った内容となっています。従って、「被害者の立場に立つという姿勢」を鮮明にした点は高く評価できると思います。

ただ、私たちへの相談では、「不登校になっているのに学校がいじめを認めない第三者委員会にいじめを調査してほしい」という保護者の方も少なくありません。重大事態と判断されたならば、ただちに「第三者委員会」を設置することを盛り込む必要があると思われます。

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