「失業手当」を受給中の年金はどうなるのか?年金のプロがズバリ解説

 

でも、すぐに就職して失業手当は要らなくなり、求職の申し込みはしたけど失業手当を全く貰わないような人はどうなるのか。

まず、5月分の年金が8月に支払われます(5、6、7月に失業手当を貰ってない事を確認)。で、6月分の年金が9月に支払われます。そして、7月分の年金が10月…というふうに毎月年金が支払われていきます。いつまで続くのかというと、失業手当を受ける期間が経過(つまり、離職日の翌日から1年経過)するまで、このような年金の支払いが行われます。

ちなみに、求職の申し込みをしたけど、自己都合退職なんかは、原則として3ヶ月間の給付制限期間というのが設けられています。給付制限期間というのは、失業手当を貰えない期間ではありますが、「失業手当を貰ってるものとみなされる期間」なので、この3ヶ月間の年金は確認払いされません

どういう事かというと、例えば今月自己都合退職しました。で、4月中にハローワークで求職の申し込みをしました。そうなると、5月、6月、7月は給付制限期間になりますが、失業手当を貰ったものとみなされるため、この月分の年金は確認払いされず、もしそのまま失業手当をもらう事なく、確認払いされるとすれば、8月分からになり、支払いは最短で11月15日に8月分の1ヶ月の年金が支払われます。で、12月15日に9月分。

よって、給付制限期間がある人は年金も失業手当も貰えない期間となってしまうため注意が必要です。普通は求職の申し込みをしてから、失業手当の初回支払いまでに通常4ヶ月くらいはかかってしまう。

一旦、求職の申し込みをしてしまうと年金の停止は取り消せません。よって、失業手当ではなく、年金を貰いたい場合は求職の申し込みをしてはいけない。だから、年金を貰ったほうが有利なのか失業手当を貰ったほうがトクなのかを年金事務所やハローワークで試算してもらいましょう。

老齢厚生年金は課税対象であるのに対して、失業手当は非課税である事も加味するといいですね。

なお、遺族年金や障害年金、65歳前から支給されてる老齢基礎年金(年金の繰上げ)、共済から支払われる3階部分の旧職域加算の年金は停止される事なく支払われる。つまり、失業手当と同時受給が可能。

あと自己都合退職ではない人であっても、求職の申し込み日から起算して7日間は待機期間というのもあります(給付制限期間がある人はこの待機期間後に3ヶ月間給付制限される)。この待機期間も失業手当を貰ったものとみなされる期間になります。

失業手当を貰うつもりはなくなっても、この待機期間が翌月をまたいでしまう場合年金の確認払いが1ヶ月ずれてしまいます。例えば4月25日に求職の申し込みをすると、5月1日までが待機期間になります。失業手当を1日分でも貰ったり、待機期間が1日でも引っかかるとその月は年金が停止するため、5月分の年金の確認払いは行われず、6月分から確認払いとなり、支払いは9月から行われます。

なお、給付制限期間や待機期間は失業手当を貰ってるものとみなしますが、実際は貰ってないので、年金が貰えなかった期間分は、失業手当の所定給付日数分貰い切ったり、失業手当を受ける期間が経過した後に事後精算が行われ、例えば3ヶ月給付制限期間で貰えなかった年金が後で支払われます。

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