安倍総理の根回し大失敗。それでも伊勢志摩サミットを開催する理由

 

史上最大の警備規模

今回政府は「見せる警備」といって警備に焦点を合わせているようだが、警備に焦点を合わせれば合わせるほど観光客が来なくなるという問題もある。警備費用は北海道洞爺湖サミットを上回る340億円、警備規模は2万数千人で、警備の額も人も史上最高のものであるとも言える。それだけ警備が強化されるということは規制が厳しくなるということでもある。

近年開催されるサミットは取材センターから会場までの距離が30、40km離れており、途中検問所が沢山あり、そこに行ける人は10人程度の為サミット会場で取材するということはほとんどない。そういう意味からもサミットを開催する意味が必ずしもあるのか。また、地元も必ずしも賛成ではないことから、サミットの存在がこれまでとは大きく変わってきたと言える。

古き良きサミットは?

東京サミット(1979、86、93年)の頃はまだ皆、和気あいあいとしていて、お祭り気分もあった。日本に初めて世界の首脳が来る。首脳たちもちょっとした合間に街に出て、レストランに入って昼ご飯を食べるということもあった。また、レーガンが食べたメニュー(86年開催時)がその後「レーガンメニュー」として売り出されるなど、街の人びととふれ合おうという雰囲気が非常にあった。今はもうそういうことは皆無となった。

その当時から特に東京の警備は厳しく、日本で何か起こってはいけないと迎賓館周辺数キロ圏内で聞き込み調査を実施したり、ゴミ箱を撤去するなど限界な警備態勢であった。整備側はなるべく市民と世界の首脳たちの接触を避けようとしていたが、首脳たちはその国民の中に溶け込んでいくのが我々の役割だとしてレストラン等に出かけ、周囲をヒヤヒヤさせていたという状況だった。

状況はすっかり様変わりしているが…

その当時から状況は徐々に様変わりし、世界的にサミットに対する期待感は落ちてきている。安倍首相は「外交の安倍」といわれ、100あまりの国や地域を訪問し世界の首脳と顔を合わせている。その方々を呼んでそこで主役になるということに非常に思い入れがあるように感じられる。

こんな状況下においても、安倍首相はさまざまな国際会議を招致することによって東京は国際会議の中心となり、さらにここで全ての事が決まってゆくということをアピールできるというように思われているのではないか。

今回ヨーロッパやロシアに根回し外交をしたが、昔からこのような方法をとることもあった。今回、特に力を入れているのであのように各国を訪問したのだろう。しかしながら各国をまわってみたものの、結果としてはあまり成功したとはいえない。ドイツなどに財政や金融を一体化しようという提案をしたが「NO」といわれ、根回し外交も空振りに終ったという感じがする。

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