黒歴史を忘れない。日本人に突きつけられた「21世紀の不平等」

 

不平等な世界をいかに生きるか?

というわけで、「平等な民主主義世界の中には、多くの欺瞞が隠れています。「こんな現状は嫌だ!」というとき、2つの道があります。

1つは、「体制を無視して独自の道をいく」こと。しかし、これは「破滅への道」です。日本は、かつてこの方法で「いける!」と思いました。1930年代はじめ、満州国問題で国際連盟と揉めた。日本以外のすべての国が、満州国建国に反対した。それで、日本はブチ切れて、国際連盟を脱退してしまった。国民は、政府の勇気ある決断を支持し、帰国した松岡全権代表は、「国民的英雄」として、大歓迎されたのです。

しかし、その後の日本はどうでしょう? 世界を敵にまわして戦い、大敗北です。このことは、いまの日本人も「大いなる教訓」として覚えておくべきです。

190か国が参加する世界秩序NPTから脱退しても、「核兵器保有するべきだ!」という人がいます。まさに、「満州国は日本の生命線!国際連盟を脱退しても守る」と叫んでいた1930年代と同じ道ですね。

もう1つの方法は、「体制内で力を増し変革すること」です。「そんなことは不可能だ!」と思うかもしれません。しかし、そうでもないのです。19世紀の半ば、日本は欧米列強と不平等条約を結ばされました。日本政府は、辛抱強く交渉を進め、56年かけてこれを平等なものにかえました。それに、国際連盟で日本は、「常任理事国だった事実も忘れるべきではないでしょう。

最近では、中国の人民元が「SDRの構成通貨入りした」(15年11月)という大きな出来事がありました。これも中国は、「体制を破壊せず」「中から働きかけること」で達成したのです。人民元SDR構成通貨入りの善悪はともかく、「手法」は学ぶべきですね。

私たちは、「不平等な世界」に生きています。それが嫌で、ブチ切れて過激な行動に出れば、潰される。1930年代の日本から、比較的最近の「ジャニーズ騒動」まで。次元は違っても、同じような出来事は、頻繁に起こっているのです。

過激な行動に出て潰される国、人々から得られる教訓は何でしょうか?

忍耐強くあれ現実主義者であれ理想に向かってゆっくり進め

image by: Shutterstock

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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