アメリカは常に正義なのか。核兵器開発の濡れ衣でイランを叩いた理由

2016.06.03
by yomeronpou
 

アメリカ―中東情勢まとめ

ここ数年のアメリカ─中東情勢をまとめておきましょう。

  1. 08年からの「100年に1度の大不況」で、アメリカは沈み、中国は浮上した。
  2. アメリカは危機感を強め、オバマは11年11月、「アジア回帰」を宣言する。これはつまり、「中東よりアジアを重視する」という意味でもある。
  3. シェール革命進展で、「資源の中東」の重要度が薄れていく。
  4. 2013年9月、オバマはシリア攻撃をドタキャンし、サウジ、イスラエルを失望させる。
  5. 2014年8月からIS空爆を開始するも、やる気なしで、ISは弱体化せず。
  6. 2015年7月、「イラン核合意」で、核問題は事実上解決。
  7. 2016年2月、米ロ主導で、シリア内戦の「停戦」が実現。
  8. 2016年4月、オバマ、サウジを訪問も、冷遇される。

超単純化すると、アメリカは、中国の脅威増大と、シェール革命により、中東を重視しなくなった。それで、イランと和解しサウジとイスラエルを見捨てた

となります。

説明し終わったところで、最後に、誠神大和さまの質問に関する回答を。

一つ目の質問は、そもそもイランの「核兵器製造計画」は米国のイランに対するイチャモンだったと記憶していますが、実際のところはどうなっているのでしょうか。

■ 回答

完璧にはわかりません。しかし、アメリカもIAEAも、09年時点で「イランは核兵器開発していない」と結論づけています。その後もイランバッシングが続いたのは、「核兵器開発」ではなく、上に挙げた他の理由によるものでしょう。

二つ目の質問は、米国とサウジアラビアの関係は険悪なのに、ロシアのプーチンを叩くために手を結ぶことなどできるのでしょうかという点です。

■ 回答

アメリカとサウジの現状を見るに、「反プーチンで手を組むことはないでしょう。よって、原油価格の下落は、上に挙げたような他の理由によるものと思われます。

image by: a katz / Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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