日本に間もなく上陸か?世界で話題の相乗りサービス「UberPool」とは

2016.06.06
by yomeronpou
 

UberPoolの登場

2014年8月、Uberでは、相乗りサービスUberPoolをサンフランシスコで開始した。同社のサービスには、自家用車が配車される「UberX」、タクシーが来る「UberTAXI」、黒塗りハイヤーの「Uber Black」などのオプションがあるが(全オプションがある都市もあれば、一部しかない地域もある)、これに相乗りの「UberPool」が加わった格好だ。

配車リクエストの際に行き先を入力すると、Uberが同じ方向へ向かう他ユーザーとのマッチングを自動的に行って配車、料金と待ち時間が表示される。価格はおおむねUberXの20-50%引きとなるが、途中の乗車/下車があるため所要時間は長めとなる。現在、UberPoolは、サンフランシスコのほか、LA、ニューヨーク、ロンドン、上海など29都市で提供されており、Uber利用の半数以上がUberPoolになった都市もでてきた。運転手にとっては、売上単価は下がるものの実車の時間が増えるので、売上は下がらないとみられている。

移動手段の認識が変わる?

Uberでは、低価格のUberpoolが広まれば、同社サービスはタクシーやハイヤーとの競争ではなく、自家用車の所有との比較になるだろうとみている。Uberpoolを更に推進する方策として、通勤の相乗りサービスの試行もはじまった。米国では、タクシーなど営業車の総走行距離よりも自家用車を利用した通勤の総走行距離のほうが長いといわれており、そのインパクトは大きい。利用者が増えれば、相乗りの組み合わせも増え使いやすさが増す。

これまで、既存秩序の破壊者とみられていたUberだが、「排気ガスの削減」「交通渋滞の緩和」「環境保護」など、社会問題解消の視点が加わればイメージアップ効果も高い。「自家用車の相乗り」が新時代の移動手段として定着するかどうか、Uberpoolの動向に注目しておきたい。

(参照)

  • ニューヨーク・タイムズ紙 2016年3月30日記事「Car-Pooling Helps Uber Go the Extra Mile」
  • 同 2016年3月30日記事「UberPool and the Marvels of Measurement」
  • フォーブス誌 2016年3月29日記事「Can Lyft Finally Make Carpooling A Reality?」
  • Uber Technology Webサイト
  • Wikipedia「Uber Technology」

image by: shutterstock

 

IT業界人のための「ビジネス・トレンド・ウイークリー」』より一部抜粋

著者/鈴木 奏(すずきすすむ:Solution Services,Inc President & CEO)
日本IBMで営業、野村総合研究所(NRI)で金融トレーディング・システム事業企画を経験した後、1990年よりロンドン、シリコンバレーにて海外駐在。1998年CSKに入社し、ニューヨークにてCSKソフトウェア(元マイクロノーシス社)の運営に携わる。2006年にソリューション・サービスを設立。日本の情報サービス企業に対する情報提供/コンサルティング事業を行なっている。ニューヨーク在住。神戸市出身。メルマガでは米国を中心とした情報技術活用の新潮流を毎週報告。海外動向の的確な理解を促し、日本のIT企業のビジネス拡大に貢献することを目指している。
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