音楽不況の今、なぜ日本の「BABYMETAL」は海外で成功したのか?

 

BABY METALはコンセプトだ

私にとって、BABYMETALはコンセプトだ。しかも、とても斬新かつ効果的なコンセプトである。

日本企業も世界市場に進出しようと、様々な試みが行われているが、BABYMETALほどの成功は見たことがない。私たちは、謙虚にBABYMETALに学ぶ必要があるのではないか。

BABYMETALは、日本語で歌っている。「海外市場だから英語で歌わなければダメ」というのは思い込みかもしれない。外国人が日本語のJ-POPや歌謡曲を聞いて、その音の美しさに感動し、日本語を習うようになったという事例は少なくないからだ。

世界市場が求めているのは、西欧風のコンテンツではない。日本オリジナルのコンテンツなのだ。これは音楽に留まらず、飲食も同様だろう。勿論、ファッションも同様のはずだ。

BABYMETALは、10代の少女ユニットだが、ライブではバックバンド神バンド」が加わる。彼らの演奏テクニックは非常に高度で、ライブのクオリティを高めている

もし、BABYMETALの楽曲を普通のアイドル調にアレンジしたら、これほどの話題にはならなかっただろう。また、神バンドがどんなに超絶テクを持っていたとしても、彼らだけでは、海外フェスで観客を熱狂させることはできなかっただろう。正に、大人と子供がWIN-WINの関係になっているのだ。

両者が組み合わさったことで、意外性とインパクトが生まれた。悪魔のようなメイクの神バンドとカワイイBABYMETALのイメージ。激しいヘビメタのサウンドと少女の歌声。全てが相反し異質なものが一つのステージに
凝縮している。それを目の当たりにした観客は戸惑い、その後に熱狂する。ある意味で規範が外れるというか、たがが外れてしまうのだ。

クールジャパン」と評価されるものは、キリスト教的な価値観から見ると、どこかインモラルな匂いがつきまとっている。BABYMETALも同様だ。インモラルで危ういイメージの中にいながら、しっかりとした技術で健全な作品として成立している。

ファッション業界でも、若者の感性が色濃く反映されたファッションが登場することがある。しかし、そこに神バンドが加わり、完成度の高いステージを構築することはない。才能のあるデザイナーは資本力や経営ノウハウがないマーケティングもプロモーションも素人だ。したがって、大きく成長することができない

既存の企業は斬新なコンセプトがない。西欧のファッションをコピーしているだけである。しかも、それが正当だと思い込んでいる。

「BABYMETALはまやかし」という音楽業界の論争もそれに似ている。伝統や、何かの様式にはまらないモノは、「まやかし」と定義して安心しているのだ。

私から見たら、BABYMETALはオリジナルである。しかも、その背景には伝統的現代的な日本文化を存在している。西欧のコピーの方がまやかしであるとも言えるのではないか。

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