音楽不況の今、なぜ日本の「BABYMETAL」は海外で成功したのか?

 

ファッションにおけるBABYMETAL的アプローチ

異質なコンテンツの組み合わせ世代を超えたチーム作り。そして、日本独特の文化を表現すること。ファッションにBABYMETALのようなコンセプトを取り入れることは不可能だろうか。

ファッションの分野で、日本オリジナルのコンテンツとは何か。伝統的な世界でみれば、きものの世界がある。

もう一つは、サブカルチャーだ。ゴシック、ロリータ、ビジュアル系バンド、コスプレ等は、日本独自の世界観である。

コンテンツを支える技術で日本のレベルが高いのは、紡績、テキスタイル、パターンメーキング、一部の高度なニット、高度な縫製だろうか。

通常、ファッション分野の高い技術は西欧をルーツとするコンテンツで活用される。日本独自のコンテンツは、西欧のコンテンツより下に見られているからだ。

しかし、海外市場を狙うのであれば、日本独自のコンテンツを日本独自の高い技術で表現することが求められる。

しかも、世界の人が驚くような意外性とインパクトを持っていなければならない。海外の展示会に出せば、間違いなく話題を集める作品に仕上げなければならないのだ。

例えば、マンガやアニメのコンテンツをテキスタイルデザインに反映させるプロジェクトはどうだろう。テキスタイルのプロとプリントデザインのプロが参加することにより、マンガという異質のコンテンツが日本オリジナルのテキスタイルデザインになるのではないか。

日本国内で売れることを考えると、キャラクター商品のようなイメージになってしまうが、現代アートのようなアプローチが必要だと思う。ここに大人の知恵が必要とされる。

あるいは、「きもの」と「メンズスーツ」を組み合わせる。きものの柄を高級な仕立てでメンズスーツにする。勿論、ポリュームにはならないだろうが、オンリーワンにはなり得るし、日本マニアにはアピールできるだろう。

これまで、我々はあまりにも「売れる」ということにこだわっていたのではないか。そのことが、商品のコモディティ化を招き、市場の活力をそいでしまったのだ。ファッションの役割の一つに、「世の中に衝撃を与える」ことがあるのではないか。それができるのは日本なのかもしれない。

 

 

j-fashion journal』より一部抜粋

著者/坂口昌章(シナジープランニング代表)
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