東電「メルトダウン隠蔽」の背後にもいた、舛添氏の逆ギレ弁護士

 

それにしても、この第三者委は、なんといい加減なことだろう。東電内部のヒアリングで事実関係がはっきりしないのなら、当時の菅直人首相や枝野幸男官房長官に聞きに行けばいいだけではないか。官邸というからには、この二人を除くわけにはいかないだろう。政権の座からすでに退いている二人から聞くのは難しいことではあるまい。記者会見ではその点について次のようなやりとりがあった。

記者「官邸の人たちにはヒアリングしなかったのか」

田中委員長「していない。第三者委員会は調査権限が限られていて、任意でしか調査できない。今回は清水社長がはっきりしたことを言わないので、たくさんの人から聞かねばならず時間が足りない」

記者「要請はしたのか」

田中委員長「していない。短期間でやるのはむずかしい」

記者「官邸からの指示は本当にあったのか、雰囲気を感じたのか、もしくは清水社長が忖度したのか」

田中委員長「保安院に情報は官邸に上げてから発表するようにという指示があり、炉心溶融についてもできるだけその言葉を使わないようにという指示が出ていた。それと突き合わせると、どういう事実認定になるかということだ」

この人たちはいったい何を調べているのだろう。簡単な事実調査を行わず、無理な推認で事実認定をしようとしているのではないか。菅元首相や枝野元官房長官に当時の話を聞くのに、さほどの時間はかかるまい。自分たちで、「炉心溶融」と言わないよう官邸から東電に指示があったかどうかをポイントにあげているにもかかわらず、当時の官邸サイドから何ら聞き取りをしないというのは、真相を追求しようという気が最初からない証拠である。

これについて、当時の官邸の主、菅直人元首相が怒るのは無理からぬことだ。東電第三者委の会見の翌日、菅は自身のブログにこう書いた。

東電の自称「第三者検証委員会」が発表した報告書で、清水社長が「炉心溶融」という言葉を使わないようにと社内に指示していたことを明らかにした。それに加えて「清水社長は官邸側から、対外的に『炉心溶融』を認めることについては、慎重な対応をするようにとの要請を受けたと理解していたものと推認される。」と報告書は述べている。

しかし、当時総理として官邸にいた私が清水社長に「炉心溶融」という言葉を使わないように指示したことはない。

当時官房長官であった枝野氏も同様に「ありえない」と言っている。私は早い段階で、炉心溶融(メルトダウン)の可能性は外部の専門家からも聞いていた。しかし原子炉を直接運転しているのは東電であり、東電からの報告がないのに推測で言うことはできなかった。

自称第三者検証委員会は「官邸側」という表現を使いながら、この件について官邸の政治家には一切聞き取りをしておらず、東電にとって都合のいい結論に導いている。

菅は6月17日の午前中に田中委員長に電話し、「報告書について説明を受けたい」と申し入れた。菅によると、田中委員長は他の委員と相談し、その日の午後「説明義務を果たす気はない」と電話で回答してきたという。

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