ポルシェがエネルギー規制値の上限に挑んだ919ハイブリッドの別次元

 

ポルシェ社は、919ハイブリッドを新たな電気駆動スポーツカーのためのテクノロジーを開発する母体と位置付けて、2015年に公開した公道走行可能な電動スポーツカー「ミッションE」のために、919ハイブリッドに採用されている電圧800Vのテクノロジーを採用すると発表している。

ポルシェは、世界耐久選手権シリーズのためのプロトタイプ・ハイブリッドマシン、とりわけ駆動とエネルギー回生システムに関して、あらゆる可能性を徹底的に研究している。なぜならLMP1マシンはエンジンの排気量、エンジン形式などすべて自由で、エネルギー回生システムは2セット搭載が許される。したがって、どのようなマシンにするかは膨大な比較検討が求められるからだ。

最終的に919ハイブリッドは、ポルシェが今までに作り上げた最も高効率なダウンサイジング・コンセプトのエンジンである2.0L・V型4気筒ガソリンターボエンジン、そして減速エネルギー回生と、排気エネルギー回生という2種類の異なるエネルギー回生システムを持つハイブリッド・ユニットを組合わせて採用している。

この前輪に装備される減速エネルギー回生システムは、ブレーキをかけた時には、フロントアクスルのモーター兼ジェネレーターが減速エネルギーを電気エネルギーに変換。もうひとつの排気エネルギー回生システムは、排気ガスがターボチャージャーを駆動し、余剰となった排気ガスでもう1つのタービン兼ジェネレーターを駆動し、電気エネルギーに変換するものだ。

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ちなみにエンジンの排気エネルギーでジェネレーターを回転させて発電するシステムは、F1グランプリで全車に採用されている(熱エネルギー回収システム=MGU-H)が、これはターボチャージャーと同軸でジェネレーターを回転させる方式だ。ポルシェ919ハイブリッドの場合は、メインのターボチャージャーのウエストゲート部に通常のバルブの代わりにもう一つのターボを設置し、このターボの回転で発電ジェネレーターを作動させる仕組みだ。

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