まとめ(戦略ショートストーリー)
DIY女子(手作り好きな女性)をターゲットに「独自の流通システム」に支えられた「手作り素材が充実している」、「おしゃれな品揃え」という強みで差別化しています。
店内の約4分の1を手作りコーナーにして、手作り素材を充実させ、手作りレシピや手作りコンテストなど、手作りを徹底的に訴求することで顧客の支持を得ています。
■分析のポイント
「在庫管理の合理化」
「毎月、500点の新しい商品を投入」という言葉にすると聞き流されてしまうかもしれませんが、実はすごい数字です。単純計算で週に100アイテムを投入することになります。当たり前ですが、100アイテムを店に並べるためには、スペースが必要となります。そして、そのスペースを空けるためには、元々あった商品を動かす必要があるわけです。
普通に考えると、新しい商品のために、もともとあった商品をバックヤードに動かして、空いたスペースに新商品を置くということもできそうです。しかし、一時的にはできるかもしれませんが、毎週、同じことをしていたらバックヤードが在庫の山になってしまいます。
実は、これはよくあることだったりします。
私もかつて100円ショップに関わっていたことがありまして、店舗側の発注ミスや本部側の予測ミスによって、売れない商品の在庫でバックヤードが埋まっているという状況はよく見ましたし、複数の店舗から集められた売れない商品の在庫の山を見て愕然としたことを覚えています。
コンビニでは売れないものは、メーカーに返品を行いますので、在庫の山というのは、起こりにくいと思いますが、100円ショップの場合、返品をしないという約束のもと、仕入れ値を下げたりしていますので、商品が売れなかった場合の損失は自社で被らなければならないことになります。
売れない商品(在庫)はお金を生まないわけですから仕入れに使ったお金が無駄になる(お金の流れが止まる)ので、資金繰りの悪化にもつながります。だからこそ、セリアは「在庫管理の合理化」に力を入れているわけです。
独自の流通システムに支えられた「在庫管理の合理化」によって、必要以上の過剰発注による無駄を抑え、いわゆる不良在庫を発生させないことを仕組み化しています。
逆に言うと「在庫管理の合理化」なくしては月に500アイテムのリリースは非常に困難と言えます。なぜなら、在庫管理がおろそかだと、先ほどご説明したように、売れない商品の在庫の山ができてしまうためです。
「確実に売れる品揃え」とは、まさに言うは易く行うは難しですが、これにチャレンジしているセリアの今後がとても楽しみです。
image by: MAG2 NEWS
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