ビタミン欠乏でも認知症になります
また、ある種のビタミン類の「欠乏」は脳の健康に有害です。ビタミンB1が欠乏すると、コルサコフ精神病という認知症に罹り、記憶力が無くなります。この精神病では、記憶力が無いということに対する病識も同時に無くなるため、話し相手の問いなどに対して、悪意のないウソをつく傾向があります。これを「作話」症状と呼んでいます。
ビタミンB12欠乏でも認知症となります。このときには、貧血や脊髄・末梢神経障害を合併することもあります。脊髄・末梢神経障害では、足のしびれや、バランスの不安定性からくる転倒などをきたします。
さらには、あまり知られてはいませんが、ナイアシンというビタミンの欠乏も認知症をきたします。これは、ペラグラと呼ばれ、認知症のほかに、下痢、発疹をきたします。
ビタミン欠乏で認知症となるのであれば、サプリなどでビタミンを大量に摂れば予防になるのでは?というアイデアが浮かぶ人もいると思います。しかしながら、これは正しくないことがわかりました。上記のB1やB12、そしてナイアシンを大量に摂っても頭はよくなりません。
また、10年ほど前までは、ビタミンEを取るとアルツハイマー病の予防や治療となると考えられていました。これもその後の臨床研究によって、否定されています。なにごとも、過ぎたるは及ばざるがごとし、ですね。
ビタミンを多く含む野菜や果物、豆類、肉類などの自然の食品から摂るようにするとよいでしょう。ちなみに、B1を多く含む食品には、豚肉、うなぎ、いくら、B12を多く含む食品には、貝類、レバー、魚類、そしてナイアシンを多く含む食品には、鶏肉、牛肉、魚類などがあります。
文献
Wilson RS, Boyle PA, Yu L, Segawa E, Sytsma J, Bennett DA. Conscientiousness,
dementia related pathology, and trajectories of cognitive aging. Psychol Aging.
2015 Mar;30(1):74-82.
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