狙うは中国の孤立。安倍総理がロシア経済分野協力担当相を新設した思惑

 

中ロ関係の現状

日本では、「ロシアは中国を嫌っている。いずれケンカする」という「信仰」があります。確かに、ロシアは、中国を信用していませんが…。しかし、ロシアと中国の同盟並の友好関係はすでに10年以上続いています。きっかけは、03~05年、旧ソ連諸国で「親米反ロ革命」が相次いだことでした。

  • 03年、グルジア「バラ革命」
  • 04年、ウクライナ「オレンジ革命」
  • 05年、キルギス「チューリップ革命」

この革命の背後にアメリカがいる」ことを感じ取ったプーチン。「このままでは、ロシアでも革命が起きる。そこまでいかなくても、旧ソ連諸国は、全部『親米反ロ』になり、『包囲される』!」と強い危機感を持ちます。そこで、プーチンは、中国に急接近したのです。

中ロは、「上海協力機構」を「反米の砦化」することで、アメリカに対抗していきます。そして、「国連重視」「多極主義」(=反米一極主義)など美しいスローガンを掲げ、影響力を拡大していきました。

米ロ対立は結局、08年8月の「ロシア―グルジア戦争」に発展していきます。しかし、その後「100年に1度の大不況」が起こり、米ロ共に非常に苦しい状態になった。結局米ロは和解し、「再起動の時代」がやってきます。「再起動の時代」、ロシアの大統領は、アメリカ大好きメドベージェフでした。

しかし12年にプーチンが再び大統領になり、「再起動の時代」は終わった。プーチンは、アメリカとの対決姿勢を強めていきます。14年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が倒れた。親欧米新政権は、「クリミアからロシア黒海艦隊を追い出し、かわりにNATO軍を入れる!」と宣言した。これはロシアの安全保障上「大いなる脅威である!」と激怒したプーチンは、「クリミア併合」を断行します。そして、欧米+日本は、「対ロシア経済制裁」に踏み切った。ロシアが世界的に孤立する中、中国は唯一ロシアの味方につきました。結果、ロシアと中国は現在、事実上の同盟関係にある。

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